
こんにちは、ママ投資家のちょる子です。
前回のコラムでは、少しスパルタな「節約術」と、それによって生み出される「入金力」の大切さについてお話ししました。家計を見直し、投資への切符となる「種銭(タネセン)」を作る準備は整いましたでしょうか。
さて、手元に資金ができ、いよいよ資産運用を始める段階になると、多くの人が陥る「心の罠」があります。 第2回のテーマは、「資産運用は長期戦。続けることの意味と、無理のないルールづくり」についてです。

私が主戦場としている株式投資には、チャールズ・エリスという著名な投資家のこんな格言があります。
「稲妻が輝く瞬間に、市場に居合わせなければならない」
これは、「相場が急上昇する最高の瞬間(稲妻)を取り逃がさないためには、常に市場に参加し続けていなければならない」という意味です。
しかし、実際の相場は甘くありません。上がったり下がったりを繰り返し、ときには暴落という嵐に見舞われることもあります。
SNSを開けば、「〇〇の株で資産が倍になった!」「爆益!」といった景気の良い報告が飛び込んできます。そんな声を見ると、「自分も早く、大きく儲けたい!」と焦ってしまうかもしれません。
ですが、資産運用において最後に笑うのは、「一時的に大勝ちした人」ではなく、「どんなに負けても、市場から退場せずに生き残った人」です。
一発大きく当てた人が、その後も勝ち続けられるとは限りません。むしろ、運良く得た利益を元手にさらに大きなリスクを取り、最終的にすべてを失ってしまう……
私自身も、何度も大きく資産を減らした経験がありますし、投資家仲間の中でも、そうしたケースを数多く見てきました。
大切なのは「一発逆転」という発想ではなく、自分の中で「再現性のある勝ち筋」を持ち、長く続けることだと私は思っています。

資産運用を長く続けるためには、自分が何をしているのかを理解する必要があります。 ここで、「あるあるな落とし穴」についてお話ししましょう。
それは、「『資産運用』をしているつもりが、いつの間にか『ギャンブル』になってしまっている」というケースです。
なぜ、本来は長期の資産形成だったはずのものが、ギャンブルに変わってしまうのでしょうか。
最大の原因は、「なんとなく上がりそうだから」という雰囲気だけで買い、「なぜ買ったのか(根拠)」と「どうなったら売るのか(出口)」を決めずにポジションを持ってしまうことにあります。
SNSで話題になっているから、とりあえず乗っかる。
チャートが上がっているから、「今買わないと損だ」と飛びつく。
これでは 買う理由が「なんとなく」なので、株価が下がったときに「なぜ下がったのか」が分からず、どう対処していいかも分かりません。
結果、お祈りしながら塩漬けにするか、恐怖に駆られて狼狽売りすることになります。
自分の中に明確な「根拠」と「ルール」がないままお金を投じること。それは投資ではなく、運任せの丁半博打と同じです。
投資の神様、ウォーレン・バフェット氏はこう言っています。
「リスクとは、自分が何をしているか分かっていないことから生じる」
自分が「なぜその株を買うのか」「どのくらいのリスクを取っているのか」を分かっていないことこそが、最大のリスク(=ギャンブル)なのです。

では、どうすればギャンブルの罠に陥らず、市場に居続けることができるのでしょうか。 そこで必要になるのが、「メタ認知」です。
メタ認知とは、「もう一人の自分が、上空から自分自身を観察すること」。 投資におけるメタ認知とは、究極的には次のふたつを知ることです。
自分の「強み」を知り、必殺技を磨いて、それをやり続けること。
自分の「弱み」を知り、致命的なミスを防ぐこと。
少し、私自身の話をさせてください。 私は個人投資家として活動していますが、実は「企業の決算分析」や「業界構造の分析」が、それほど得意ではありません。
細かい数字を追うのは苦手ですし、もちろん努力はしているものの、自分の実力ではどれだけ分析しても、お客様からお金を預かり運用をしているプロの投資家の方には到底敵わないと感じています。
そのため、企業の数字を深く読み込む必要がある、自分の苦手な土俵である「決算プレー」は、基本的に行いません。
その代わり、私の強みは「マクロ経済のニュースから、指数を見て株価の動きを察知すること」です。
そして何より、「間違っていたらすぐに『ごめんなさい』をして撤退できる判断の早さ」には自信があります。
自分の「弱み(分析)」を認め、そこでは戦わず、自分の「強み(相場観・損切り)」だけで戦う。 この自己理解こそが、私が大きな失敗を避け、市場から退場せずに続けてこられた理由です。

メタ認知ができたら、いよいよ具体的な「ルールづくり」です。 長く続けるためのルールは、気合や根性で作るものではありません。「自分のゴール・資金・性格」にフィットしているかどうかが、すべてです。
私は、以下の4ステップでルールを決めることをおすすめしています。
ここが決まらなければ、何も始まりません。「いつまでに」「いくら」「何のために」必要なのかを、明確にしましょう。
教育資金(10年後): 失敗できないお金なら、債券や現金の比率を高めに。
老後資金(30年後): 時間があるなら、株式を中心に複利効果を狙う。
ゴールが定まれば、選ぶべき「アセットクラス(株式・債券・不動産などの資産の種類)」も自然と見えてきます。
次に、自分の手持ちカードを確認します。
入金力: 毎月いくら投資に回せるか。必ず「生活防衛資金」を除いた、余剰資金であることが前提です。
時間: 投資の勉強や分析に、どれくらい時間を使えるか。忙しい会社員であれば、手間のかからないインデックス投資が最適解になることもあります。
ここが、最も重要なポイントです。 リスク許容度とは、数字上の計算ではありません。あなたの「身体」が教えてくれるサインです。
保有している株が暴落したとき、あなたは次のような状態になっていませんか?
心臓がドキドキして落ち着かない
仕事が手につかない
手に嫌な汗をかいてしまう
夜、眠れなくなる
もし一つでも当てはまるなら、それは「リスクの取りすぎ(許容度オーバー)」です。いくら理論上は正しくても、心や体を壊してしまっては元も子もありません。 枕を高くして眠れるレベルまで、リスク(投資額)を落としましょう。
最後に、具体的な売買ルールです。 ここは、あなたが選んだ投資スタイル(Step2)によって大きくふたつに分かれます。
世界経済やその国の成長にお金を投じる「インデックス投資」を選んだ方のルールはひとつ。 「ドルコスト平均法できちんと積み立てを続けること」です。
世界経済全体で見れば、長期的には右肩上がりに成長していくという前提があります。 ですから途中で暴落が来ても、それは「終わり」ではありません。
むしろ、安くたくさん買える「バーゲンセール」です。 ここでのルールは、「暴落が来ても絶対にやめないこと」。淡々と積み立て続けることで経済成長の波に乗り、資産を育てることができます。
自分で銘柄を選んで投資する場合のルールは、「撤退ライン(損切り)」の徹底です。 私のルールは非常にシンプルです。 「買ったときの理由と、異なる状況になったら切る」
「業績が成長すると思って買った」のに、「業績の成長が止まった」→ 売る。
「高い配当金がもらえると思って買った」のに、「減配した」→ 売る。
「チャート(株価の形)が良いと思って買った」のに、「チャートの形が崩れた」→ 売る。
「もう少し待てば戻るかも……」という感情は捨て、最初に決めた理由(チャートやシナリオ)が崩れたら、機械的に切る。これが、致命傷を防ぐ唯一の方法です。

投資という長い旅路には、晴れの日もあれば、嵐の日もあります。 目先の利益に一喜一憂し、短期的な売買を繰り返すことは、嵐の中で船をあちこちに旋回させるようなものです。それでは、いずれ遭難してしまいます。
大切なのは、最初に決めたゴールを見据え、自分の選んだ手法に合ったルールで、どっしりと構えること。
インデックス投資なら、暴落しても積立をやめないこと。 個別株投資なら、小さな負け(損切り)を認めて資金を守り、次のチャンスを待つこと。
仮に一時的に資産が減ったとしても、そこで市場から退場せず、淡々とルール通りに続けることができる人。「負けても(市場に居ることを)やめない人」こそが、複利という時間を味方につけ、最後に勝つことができるのです。
入金力を高め、自分を知り(メタ認知)、無理のないルールで続ける。 これができれば、あなたはもう立派な投資家です。
さて、長期戦を戦うためのマインドとルールは整いました。 次回は、この資産運用という長い旅路を、より安全に進むための具体的な「盾」のお話です。
「リスクヘッジはできていますか? NISA、iDeCoだけで本当にいいんだっけ?」
資産運用において一喜一憂しないためのポートフォリオの作り方についてお話しします。
それでは、次回も「やめられない とめられない」資産運用の話でお会いしましょう。
ちょる子
親の影響を受け、2011年に240万円から株主優待を目当てに株式投資をスタート。 2019年から育児休暇をきっかけに、大型株のスキャルピングやスイングトレードを開始。 職場復帰後の2022年に資産1億円を達成。2025年には資産3億円を突破した30代の兼業投資家。 育児に励む2児のママでもある。育児と仕事、そして投資のバランスを取りながら、日々奮闘中。趣味は爆損芸。 X(旧 Twitter):@kabu_st0ck
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資産運用のヒントが詰まった次回コラムもお楽しみに。
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