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SNSの熱狂から一歩引いてみる。「自立心」こそが、あなたを本当の投資家にする情報防衛術 

SNSの熱狂から一歩引いてみる。「自立心」こそが、あなたを本当の投資家にする情報防衛術 

こんにちは、ママ投資家のちょる子です。

「この銘柄、絶対に上がります」
「今すぐ買わないと乗り遅れます」

SNSを開くと、こんな言葉が目に飛び込んできませんか?
新NISAが始まり、日経平均が初の50,000円を突破したことで、投資を始める方が急増しました。私のもとへも「何から勉強したらいいですか?」というご相談が多く寄せられます。

第1回から第3回にかけて、投資の種銭づくり、長期戦を生き抜くルール、そしてポートフォリオによるメンタル設計をお話ししてきました。

自分なりのゴールと仕組みが整い、いざ銘柄を探そうとした時、現代の投資家が真っ先に向き合わなければならない巨大な存在があります。

それは、「SNSという情報の大海原」です。

第4回となる今回は、投資インフルエンサーとして、そして企業のPR/IR(投資家向け広報)を支援するプロの視点から、「SNS時代の情報との誠実な向き合い方」と、「誰にも依存しない自立した投資家になるためのマインド」についてお話しします。

「フォロワーが多い=投資が上手い」ではない

X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSには、「絶対に儲かる」「〇〇の優待がお得!」といった魅力的な言葉が溢れています。しかし、大前提としてお伝えしたいのは、「フォロワーが多いインフルエンサーが、必ずしも投資が上手いわけではない」ということです。

今はAIを使えば、それらしいテキストや画像をいくらでも自動生成でき、誰でも簡単に「すごい投資家」を演出できる時代です。

例えば、大量の札束や口座残高のスクリーンショット。私は、現金の画像を見たらまずは詐欺を疑うようにしています。以前、SNSで高級車や高級時計をアップし、派手な生活をアピールしている方がいました。

それを見た私の友人から、「この人みたいな生活、どうやったらできるんだろう?」と羨むような連絡をもらったことがあります。その時、私は友人にこう返しました。「多分、詐欺だと思うよ。」

その後、悲しいことですが私の直感は当たり、その方はポンジスキームで逮捕され、多くの被害者を出す事件となりました。

SNSのキラキラした世界を見ると焦る気持ちはわかりますが、金融の世界に「美味しい話」は絶対にありません。

そしてもうひとつお伝えしたいのは、「高額な有料スクールやオンラインサロンも必要ない」ということです。今は無料で手に入る素晴らしい情報が、ネット上にいくらでも落ちています。最後に頼れるのは、自分自身の知識だけなのです。

インフルエンサーの「お得情報」に潜むリスク

詐欺ではなくとも、インフルエンサーが善意で発信している「お得情報」に、思わぬ落とし穴が潜んでいることもあります。例えば、株主優待を実質タダで手に入れられる裏技として、SNSで頻繁に推奨される「クロス取引(つなぎ売り)」。

多くの方が「ノーリスクでお得!」と紹介しますが、実は大きなリスクがあります。制度信用取引を使ってクロス取引をしたばかりに、想定外の高額な「逆日歩(ぎゃくひぶ:株を借りるための追加コスト)」が発生し、もらった優待の価値以上に大損してしまった……という悲劇が起こることも。

他にも、「利回りが高いから」と勧められて飛びついた投資信託が、実は購入時手数料や信託報酬などの「手数料負け」をしており、実質的に利益がほとんど残らないケースも少なくありません。

発信しているインフルエンサーを責めているわけではありません。彼らは「メリット」や「成功体験」を強調しますが、その裏にある「見えないコスト」や、相場が急変した時の責任までは負えません。

お得に見える情報ほど、裏側にどんな仕組みやリスクがあるのか、自分で確認する慎重さが必要なのです。

ゴールに合わせた「一次情報」を取りに行く

では、誰の言葉を信じて、何から勉強すればいいのか?

答えはただ一つ。「自分自身」です。自分でしっかり勉強し、「一次情報」を取りに行き、自分の頭で考えるしかありません。

「一次情報」とは、誰かの解釈やフィルターを通していない生の情報のことです。

YouTubeの解説動画やSNSのまとめ投稿(二次情報)を見る前に、まずは以下の情報に直接アクセスする癖をつけてください。

・決算短信

・有価証券報告書

・証券取引所の適時開示情報(TDnet)

・企業のIRページ

また、第2回でお話しした「ゴールの設定」が、ここでの勉強法にも直結します。

教育資金のためにインデックス投資をコツコツ続けるのがゴールなら、毎日の個別銘柄ニュースに張り付く必要はありません(むしろノイズになります)。

逆に、個別株で大きなリターンを狙うなら、業界の構造やマクロ経済の一次情報を徹底的に読み込む必要があります。

IRのプロが教える、企業の本質を「自力で」見抜く方法

私は本業で企業のPRやIRの支援を行っています。だからこそ、皆さんにお伝えしておきたい事実があります。それは、「企業が発信するIR資料は、基本的に『良いこと』を中心に書かれたマーケティング資料である」ということです。

もちろん企業は基本的には嘘をつきませんが、自社の魅力を最大限に伝えるために都合の良いデータを目立たせ、表現を工夫する努力を行っています。投資家としては企業の発信する情報のみを鵜呑みにするだけでは不十分です。

企業を分析する際は、ぜひ以下の「多面的な視点」を取り入れてみてください。

① 現場と世間のリアルを覗き見る

決算書には「過去の数字」が載っています。一方、企業の「未来」を作るのは従業員です。私は投資を検討する際、必ず「OpenWork(オープンワーク)」などの社員口コミサイトを確認し、表の顔(IR)と裏の顔(組織文化)に乖離がないかをチェックします。

また、外部からの客観的な評価も重要です。例えば、IRで「我が社は革新的なマーケティングが強みです」と謳っている企業があれば、マーケティングの専門誌で取り上げられているかを確認します。

Googleでの検索トレンドやSNSでの盛り上がりを調べたり、実際の店舗に足を運んで客入りや単価感を肌で感じたりするのも、IR資料を読む以上に有効な手段です。

② 社長は「事業」を伸ばしたいのか、「株価」を上げたいのか

社長のインタビューや決算説明会での発言にも注目してください。

「自社の事業を通じて社会課題を解決したい」と“本業の成長”に熱量を持っているか。それとも、流行りのバズワードを多用し、やたらと“自社の株価のつり上げ”に執着しているか。

経営者が株価を上げたがるのには理由があります。その多くは「増資などの資金調達」を有利に進めるためです。

資金調達自体は決して悪いことではありませんが、方法によっては既存株主の株式価値が希薄化し、投資家の財布が痛むこともあります。みだりに株価を吊り上げようとする会社には注意が必要です。

私はPR・IRの仕事をしているため、会社の「自社を良く見せたい」という気持ちは痛いほどよくわかります。しかし同時に、私自身がひとりの投資家であり、発信をしている以上、読者の方にはできる限り損をしてほしくないのです。

★コラム:サービスや企業の「裏付け」を確認する癖をつける

少し本題から逸れますが、企業だけでなく「利用する金融サービス」の信頼性を確認することも同じくらい重要です。

例えば、本コラムが掲載されている「オルタナ」を運営する三井物産デジタル・アセットマネジメントさんは、三井物産グループであるという点に加え、リーガルチェックや法務体制が非常にしっかりしている(裏を返せば、審査が厳しすぎるくらいちゃんとしている)点を、私は高く評価しています。

私は、金融サービスを利用する際は、必ず金融庁のホームページを見に行きます。「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」というページで、「第一種金融商品取引業」や「第二種金融商品取引業」など、金融商品取引業者として金商法や金融庁の監督下にあるか、「金融商品取引業者登録一覧」を確認するためです。

SNSで「金融のプロ」を名乗って有料サロンを運営している人が「自分は仲介業を取得している」と公言していても、実際に金融庁の登録簿を見ると名前がないケースも多々あります。

また、もう一つ誰でもできる簡単なチェック方法があります。それは「企業の発信に誤字脱字がないか、不自然な日本語がないか」を見ることです。

法務やコンプライアンス体制がしっかりしている会社は、外部に出す文章のリーガルチェックを徹底します。逆に、公式なIR資料やウェブサイトの文章が不自然だったり誤字が多かったりする企業は、社内の管理体制(ガバナンス)そのものが甘い可能性が高いと判断できます。これも立派な情報防衛術の一つです。

「自立心」が、あなたを本当の投資家にする

投資で一番危険なのは、「知らないこと」ではありません。
「自分で考えないこと」です。

少し厳しいことを言うようですが、あなたの資産を、あなた以上に真剣に守り、増やそうと考えてくれる他人は、この世にひとりもいません。

「有名なあの人がおすすめしていたから買う」

「LINEグループで指示された通りに売る」

それは投資ではありません。自分の大切な資産と人生の決定権を、他人に丸投げしているのと同じです。

わからない言葉があれば、誰かに聞く前に自分で検索して徹底的に調べる。自分で企業の決算書(一次情報)を読み、口コミを調べ、自分なりのストーリーを描いて決断を下す。

投資という行為は、突き詰めれば自分自身との孤独な対話です。

自分の足で立ち、自分の頭で考え、その結果としての利益も損失もすべて自分で引き受ける。この「誰にも頼らないという自立心」を身に付けた時、あなたは初めて、ノイズに振り回される状態から抜け出し、力強い「本当の投資家」へと進化を遂げるのです。

だからこそ、皆さんには今日からできる「自立への第一歩」を踏み出していただきたいです。

もし今、SNSで「絶対に儲かる」「個別銘柄教えます」と謳っているアカウントをフォローしていたり、怪しいLINEグループに入っていたりするなら、今すぐこの瞬間にフォローを外し、退会してください。

そしてその空いた時間で、自分が保有している企業の「決算短信(一次情報)」と「OpenWork」をじっくり読み込んでみましょう。その小さな自立への一歩が、あなたの資産を最も強固に守る盾になるはずです。

それでは、次回も「やめられないとめられない」投資の話でお会いしましょう!

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