
いよいよ新しい年「2025年」が始まります。
新しいNISAの制度が始まった2024年、新たに資産運用や投資を始めた方も数多くいらっしゃったのではないでしょうか。
一方で、 「投資についてゆっくり考えている時間がない」「どの商品に投資したらよいのかがわからない」といった方もいらっしゃるのではないかと思います。
そこでこの年末年始、あらためてご自身の資産運用や投資してみたい資産について考えるためのヒントを4つご紹介します。
資産運用の検討には、資産の「リスク・リターンの特徴」や資産間の「値動きの相関」に対する理解が重要です。
資産(国内債券、国内株式、外国債券、外国株式、国内REIT)の値動きを10年で比較すると、高いリターンを維持できる資産はありません。リスクが大きい資産は高いリターンが期待される一方、大きな損失の可能性もあります。
資産の組み合わせを考える際には、他の資産の値動きとの相関を見ることが重要です。例えば、不動産価格指数は、他の資産との相関性が低いため、ポートフォリオに組み入れるとリスク分散効果が期待できます。
まず「伝統的資産」といわれる「国内債券」「国内株式」「外国債券」「外国株式」や「国内REIT」といった資産へ投資する場合について考えてみましょう。
下のグラフは、直近の約10年間における各資産の値動き(リターン)の推移です。
具体的には、2015年1月から2024年7月までの、各資産の月間リターンの推移イメージです。
各資産を代表する市場指数 [ 例:国内株式であれば、東証株価指数(TOPIX)]の月間リターンを2014年12月末を100として指数化したもので、実際の金融商品の値動きではありません。
【グラフ1】代表的な市場指数のリターン推移
(2015年1月 - 2024年7月, 2014年12月末=100)

(出所:Bloombergのデータに基づき当社作成)
このグラフを見ると、直近の約10年間では、国内株式(ピンク)、国内REIT(オレンジ)や外国株式(イエロー)のリターンが上昇基調(右肩上がり)で推移しています。
次に、各資産における年間のリターンを見てみましょう。【図表1】は、各資産の年間(1月から12月まで。ただし2024年は、1月から7月まで)のリターンの騰落率を示したものです。
年間で高いリターンを獲得した資産とそのリターン水準から順に上から並べてみました。
【図表1】各資産の年間リターン騰落率(2024年は1月から7月まで, 非年率)

(出所:Bloombergのデータに基づき当社作成)
【図表1】を見ると、同一の資産でも、そのリターンの水準は各年で大きく変動しています。つまり、毎年にわたり高いリターン水準を維持している資産は存在しないのです。
毎年にわたり高いリターン水準を維持している資産は存在しないことがわかりました。ですが、「比較的」リターンの水準が高い資産を選んで投資すれば良いのではないかと思われる方もいらっしゃると思います。
ですが、その答えは「NO」です。
実は資産ごとに、その「平均的なリターンの水準」から上振れ、あるいは下振れするときの幅が異なります(この幅のことを「リスク」と呼びます)。
つまり、「リスクの大きい」資産は、大きく値上がりすることもあれば逆に大きく値下がりすることもあります。
逆に「リスクの小さい」資産は、リスクの大きい資産に比べ、値上がりや値下がりの幅が相対的に小さいといえます。
リスクを取って投資することを希望される方がいらっしゃる一方、リスクを抑えた投資を好む方もいらっしゃる。リスクに対するお考えは人それぞれです。
次のグラフで、各資産のリスクとリターンの位置(「散布図」といいます)を見てみます。
【グラフ2】リスク・リターンの散布図

(出所:Bloombergのデータに基づき当社作成)
【図表2】

【グラフ2】における赤い丸は、2015年1月から2024年7月までの各資産の月間リターンとリスクを1年あたりの数値に換算したものです。資産の「リスク・リターン」の相対的な位置を示しています(数値は【図表2】をご参照)。
赤い丸がグラフの左上の領域に位置するほど「低いリスクだが、高いリターン」の資産であるといえます。一方、赤い丸が右下の領域に位置するほど「高いリスクだが、低いリターン」の資産です。
【グラフ1】で高いリターンの推移を示していた国内株式、国内REITや外国株式は、国内債券や外国債券に比べてリスクが高い資産であることがわかります。
【グラフ2】のブルーの点線で囲んだ部分は、いわゆる「ミドルリスク・ミドルリターン」の領域に位置しています。
では、この領域にはどの様な資産が含まれるでしょうか。
投資対象とする資産のリスクを考える場合、「リスクとリターンの組み合わせ」の領域が拡大すれば、資産の選択肢も拡がっていきます。
ここまでは、伝統的な投資資産について考えてきました。ここで新たに現物の不動産について考えてみましょう。
不動産の値動きを代表する指数(以下、「不動産価格指数」)は、金融機関系列のシンクタンクをはじめ、多くの機関が独自に公表しています。
このコラムでは、一般社団法人 日本不動産証券化協会が公表する不動産価格指数「ARES Property Index」のうち、すべの不動産の種類(オフィス、住宅、ホテル、商業施設など)を対象とした全資産総合指数を利用しました(ただし、他の市場指数との比較が可能となる様に、日本の年金基金が参照している統計的手法により修正しています)。
【グラフ2】の場合と同様に、この不動産価格指数についても、2015年1月から2024年7月までの月間リターンとリスク(年率に換算済み)を追加しました(【グラフ3】。数値は【図表3】をご参照)。
【グラフ3】

(出所:一般社団法人日本不動産証券化協会, Bloombergのデータに基づき当社作成)
【図表3】

【グラフ3】より、不動産価格指数は「ミドルリスク・ミドルリターン」の領域に位置すると考えられます。
【図表4】は、各資産の年間リターンの騰落率に不動産価格指数(図表では「不動産指数」と記載)を追加したものです(グリーンのボックス)。
不動産価格指数の年間リターンの騰落率は、4.0%から8.0%の範囲で安定的に推移しています(ただし、2024年を除く)。
【図表4】各資産の年間リターン騰落率(不動産価格指数を追加)

(出所:一般社団法人日本不動産証券化協会, Bloombergのデータに基づき当社作成)
【図表5】は、「ある資産のリターンの変化が他の資産のリターンの変化に与える影響の大きさ」(これを「相関係数」といいます)を表したものです。
相関係数の値が1に近づくほど、資産間のリターンは同じ方向に動きやすくなることを示しています。反対に、相関係数の値が-1に近づくほど、資産間のリターンは逆の方向に動きやすくなります。
表中のグリーンのハイライト部分は、資産間に強い相関関係が見られる(相関係数が0.5以上の資産の組み合わせ)を示しています。
不動産価格指数と他の資産との相関係数はほぼ0であることから、不動産価格指数のリターンは他の資産のリターンの変化にほとんど影響を受けないものと考えられます(こうしたリターン特性を持つ資産を「オルタナティブ資産」と呼ぶ場合があります)。
つまり、相関係数が低い資産を組み合わせると、運用資産の価格変動から生じるリスクを効率的に減らすことが期待できるのです。
【図表5】 各資産間の相関係数

(出所:一般社団法人日本不動産証券化協会, Bloombergのデータに基づき当社作成)
【グラフ4】は、各資産を代表する市場指数のリターン推移を示す【グラフ1】に不動産価格指数のリターン推移(グリーンの線)を追加したものです。
このグラフから、不動産価格指数のリターンは、国内債券(薄いブルー)や外国債券(濃いブルー)のリターンと、国内株式、国内REITや外国株式のリターンとの中間に位置(ミドルリターン)しつつ推移していることがわかります。
【グラフ4】代表的な市場指数のリターン推移
(2015年1月 - 2024年7月, 2014年12月末=100、不動産価格指数を追加)

「ALTERNA(オルタナ)」が提供する商品も、安定稼働が見込める大型不動産が中心となっており、リスク分散の観点でご活用いただいているお客様も多くいらっしゃいます。
以上、「伝統的資産」である「国内債券」「国内株式」「外国債券」「外国株式」や「国内REIT」、またこれらの資産とは異なる特性を持つ不動産価格指数について、リターンやリスクの視点から説明いたしました。
現在、ご自身で資産の運用や投資を実行していらっしゃる皆様や、これからご自身の資産運用や投資の検討をなさる皆様におかれましては、ご自身の運用方針に基づき、あらためて投資の対象とする資産のリターンやリスクの特徴を見ていただくことも重要ではないかと考えております。
本コラムがそのための小さなヒントになれば幸いです。
三井物産デジタル・アセットマネジメント
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