コラム・セミナー

あなたならどうする?投資のタイミング

あなたならどうする?投資のタイミング

投資タイミングの判断は難しい

このコラムでは、株式や債券などの資産に投資する場合のタイミングについて考えます。

投資の成果を高い確度で得られるタイミングを見つけるのはとても難しいことです。また、投資する期間や投資対象とする資産、投資する金額などによっても、投資のタイミングは異なってくるでしょう。

投資のタイミングを考えるにあたり、まず投資対象とする資産——「伝統的資産」といわれる「国内株式」「国内債券」「外国株式」「外国債券」や、「国内REIT」——における過去のリターンをみてみましょう。

【図表1】は、各資産の1年間(1月から12月まで。ただし、2025年は1月から6月まで)のリターンを示したものです。年間で高いリターンを獲得した資産とそのリターンの水準を順に上から並べてみました。

なお、これらは各資産を代表する市場指数 [ 例:国内株式:東証株価指数(TOPIX)]の年間リターンであり、実際の金融商品のリターンではありません。また外国株式と外国債券はともに円ベースです。

【図表1】 各資産の年間リターン騰落率(2025年は1月から6月まで, 非年率)

(出所:各種データに基づき当社作成) 

【図表1】をみると、同一の資産でも、そのリターンの水準は各年で大きく変動しています。そのため、「どの資産にいつ投資したら良いのか」を予測することはとても難しいのです。

資産の「ローリングリターン」を考える

次に、投資のタイミングを考える際のご参考として、「ローリングリターン」を紹介します。

「ローリングリターン」とは、投資期間(例:5年間)を固定したうえで、投資を開始する時点を一定の期間(例:1か月)でずらすことを繰り返しながら計算したリターンです。

たとえば、投資期間を5年間、2020年1月を起点として投資を行うものとします。投資を開始する時点を1か月ずつずらすことを繰り返し、毎月にわたり5年間のリターンを計算していきます。 この方法で計算したリターンが「ローリングリターン」です。

ローリングリターンを計算することにより、計算期間ごとの相場変動の平均的な傾向を捉えることができます。

ここで、4つの資産(国内株式、国内債券、外国株式、外国債券)の各々を代表する市場指数に対して、投資期間を5年間、2005年4月を起点とし、投資開始時点を1か月ずつずらしながら5年間のローリングリターンを計算してみました【グラフ1】。

先ほどと同様国内株式や国内債券と比較するため、外国株式と外国債券はともに円ベースとしました。 なお、これらは実際の金融商品ではありませんので、リターンの計算に手数料や税金などは考慮していません。

【グラフ1】 各資産のローリングリターンの推移(2005年4月~2020年4月)

●国内株式

最大値:145.0% (2012年11月)  最小値: -60.1% (2007年5月)

●国内債券

最大値:18.0% (2011年6月)  最小値: -10.8% (2020年2月)

 ●外国株式(円ベース)

最大値:184.8% (2020年3月)  最小値: -53.9% (2007年5月)

●外国債券(円ベース)

最大値:61.9% (2011年1月)  最小値: -20.4% (2007年5月)

    

●国内REIT

最大値:152.0% (2009年11月)  最小値: -59.5% (2007年5月)

(出所:各種データに基づき当社作成)

【グラフ1】でおわかりになる通り、過去において5年間のローリングリターンが最大となった時点、あるいは最小となった時点は資産ごとに異なります。 また投資開始時点によっては、ローリングリターンが大きくマイナスとなる場合があることもわかります。

ここで、ローリングリターンと景気動向との関係をみてみましょう。

内閣府が公表する「景気基準日付」では、景気の「谷」から「山」へ移行する時期を「景気拡張期」、景気の「山」から「谷」へ移行する時期を「景気後退期」と定義しています。

                               (出所:内閣府HP公開データに基づき当社作成)

景気基準日付によると、2012年11月から2018年10月までは「景気拡張期」に該当します。

国内株式への投資を開始する時点が2012年11月であったとすると、その後の堅調な国内景気に支えられ、5年間のローリングリターンは最大となりました。

一方、国内株式の投資開始時点が2007年5月であった場合には、2008年のグローバル金融危機にともなう景気後退の影響を強く受け、ローリングリターンが最小となったと考えられます。

ポートフォリオのローリングリターン

次に、上記の4資産を各々25%ずつ保有した場合と、4資産に国内REITを加えた5資産を各々20%ずつ保有した場合とで、5年間のローリングリターンの推移をみてみましょう【グラフ2】。

【グラフ2】において、赤のラインは4資産のローリングリターン、青のラインは5資産のそれを表しています。 また緑のラインは、景気の良し悪しを示す経済指標のひとつである「景気動向指数(一致指数)」です(内閣府公表)。

一般に、景気動向指数が上昇している期間は「景気拡大期」、下落している期間は「景気後退期」といわれています。景気後退期に投資を開始した場合にはローリングリターンは上昇、逆に景気拡大期に投資を開始した場合にはローリングリターンは下落する傾向にあることがわかります。

【グラフ2】 4資産・5資産(4資産+国内REIT)のローリングリターン(左軸)、景気動向指数(右軸)の推移(2005年4月~2020年4月)

(出所:各種データより当社作成)

上記のグラフから、景気後退期から景気拡大期に至る過程(景気動向指数が下降から上昇に転じる過程)において、5資産のローリングリターンが4資産のそれを上回る時期があったことを示しています。なお、2018年の秋以降は、国内REITを含む5資産のローリングリターンが4資産を下回る状況となりました。

さらに、国内REITに代え、「不動産現物価格指数」を4資産に加えた場合のローリングリターンを考えてみます。

ここで「不動産現物価格指数」は、不動産の値動きを代表する指数であり、金融機関系列のシンクタンクをはじめ、多くの機関が独自に公表しています。本コラムでは、一般社団法人 日本不動産証券化協会が公表する不動産現物価格指数「ARES Japan Property Index」のうち、すべての不動産の種類(オフィス、住宅、ホテル、商業施設など)を対象とした全資産総合指数を利用します。

【グラフ3】は、4資産および5資産(4資産 + 不動産現物価格指数)のローリングリターンの推移を示しています。

【グラフ3】 4資産・5資産(4資産+不動産現物価格指数)のローリングリターン(左軸)、景気動向指数(右軸)の推移(2005年4月~2020年4月)

(出所:各種データより当社作成)

【グラフ3】より、2008年以降、5資産(4資産+不動産現物価格指数)のローリングリターンが4資産のそれを上回る時期がほぼ継続していたことがわかります。不動産現物価格指数は国内REITに比べ、景気動向にほとんど左右されることがなく値動きが小さいことから、ローリングリターンに対してプラスに寄与する場合があると考えられます。

それでは、どうやって投資すればよいのか

ここまでの分析で「いつ投資すれば儲かるか」を予測するのは非常に難しいことが分かりました。それでは、私たちはどうすればよいのでしょうか。

「一度にまとめて」ではなく、「決まった金額を継続して」投資

現実的な方法のひとつは、例えば毎月決まった金額を投資し続けることです。これを「ドルコスト平均法」と呼びます。例えば、毎月3万円ずつ株式に投資するのであれば、株価が高い時は少ない株数を、安い時は多くの株数を購入できます。結果として、平均的な価格で投資することができるのです。

景気の流れをチェックする 

投資を始める時期の目安として、新聞でよく見る経済指標(GDPや景気動向指数など)の動きも参考になります。この指数が前回と比べて下がっている時期は、過去のデータを見ると投資を開始するチャンスであった場合があります。ただし、これだけに頼るのではなく、継続投資を基本とすることが大切です。

投資期間で戦略を変える 

10年以上といった長期間で投資を行う場合には、いつ投資を始めるのかをあまり気にする必要はありません。しかし、投資対象とする資産の価格は景気の波の影響を受けやすいため、投資期間が短ければ短いほど、投資を開始する時期をより慎重に考えることが必要です。

まとめ

  • 投資の成果を高い確度で得られるタイミングを見つけるのはとても難しく、完璧な投資タイミングを狙うよりも、時間分散による継続投資が現実的な方法のひとつです。

  • 景気動向指数などの経済指標は投資を開始する時期を判断するひとつの参考となりますが、これらに過度に依存せず長期的な視点で投資を継続することが重要です。

  • 国内株式や国内債券といった伝統的資産に、景気動向に左右されにくい資産(例:不動産現物価格指数と似た様な値動きをする資産)などを組み合わせることで、ポートフォリオの安定性向上が期待できます。

執筆者

オルタナ編集部

三井物産デジタル・アセットマネジメント

三井物産グループが提供する資産運用サービス「オルタナ(ALTERNA)」を運営中。オルタナや資産運用に関するコラムを発信しています。

この記事をシェア

カテゴリーから探す

コラム・セミナー一覧へ

ここから先は三井物産デジタル・アセットマネジメントが作成したウェブサイトです。前ページは当社が作成したものではなく、内容はウェブサイト作成者の評価・意見です。予めご了承ください。