「REITじゃダメなんですか?」にお答えします!
本記事は、ALTERNA(オルタナ)のお問い合わせなどに寄せられたご質問・ご意見に、ALTERNAの中の人(三井物産デジタル・アセットマネジメントの社員)が赤裸々にお答えしていくコンテンツです。
早速、今回のご意見です。
「オルタナの商品を見て、似たような投資商品のJ-REITに比べて利回りが低いと感じました。J-REITと比べた時のメリット・デメリットを教えてください。」
とてもストレートなご意見、ありがとうございます。
実は、当社(三井物産デジタル・アセットマネジメント)の社員の中にも、REITの運用会社で働いていたメンバーが複数おり、「中にいた人」の観点からも、できるだけフラットな視点でご回答できるように頑張りたいと思います。
また、本記事は「REITをある程度ご存知の方」に向けたものとなります。
ここではREITについての詳しい解説は割愛しますが、ご興味がある方は、不動産証券化協会のコンテンツが分かりやすいので、そちらもチェックしてみてください。
※特に注意書きがない限り、本記事ではREITはJ-REITのことを指します
ご回答(要約)
【REIT】
- いろいろな物件が入っている「詰め合わせセット」。(分散は効くが、欲しいと思わない不動産も交じることも)
- いつでも売買できる。
- 分配金利回りは年2.4%〜5.6%程度だが、日々価格が動くため、トータル・リターンは必ずしも安定していない。
- 頻繁に売買したい、価格変動OK、むしろリスクを取って値上がり益を狙いたい方にはREITがオススメ!
【ALTERNA】
- 基本は1物件の「単品注文」。(小口化されているので、お好きな不動産を組み合わせて分散したポートフォリオを作ることもできる)
- 売却のタイミングに制約がある。
- 分配金利回りは案件による(第1号案件は年3.0%程度)が、価格が比較的安定している。
- 頻繁に売買する必要はないし、そんな時間もない。安定した配当は欲しいけど、値動きにドキドキしたくない「安心感」を求める方にはALTERNAがオススメ!
※分配金利回りは税引前
REITとALTERNAの共通点
REITもALTERNA(正確には、ALTERNA上で取扱う不動産を投資対象とするデジタル証券)も、以下のような点は同じです。
- 投資対象:比較的大型の不動産
- 投資金額:比較的小口でOK(数万〜数十万円)
- 運用管理:プロ(資産運用会社)にお任せ
- 税制 :申告分離課税
- 情報開示:どちらも公募商品なので情報開示は充実
「不動産投資」と聞くと、ワンルームなどのマンション投資をイメージされる方も多いかもしれません。
それに比べてREITやALTERNAでは、
- 物件選定、運用はプロが行う
- 1室ではなく1棟(もしくは複数の物件)を丸ごと購入するので、テナント(借主)が分散されて、空室への備えが期待できる
- 1室で購入するより、はるかに小口で投資できる
といったメリットがあります。
このため、REITやALTERNAは、
「不動産の安定した家賃収入には興味があるけど、大きな金額はハードルが高い」
「物件の選定・管理は面倒・・・」
という方には適した商品だといえるかもしれません。
REITの特徴は?
では、実際にALTERNAとの違いをみていきましょう。
①REITは複数の物件を入れ替えながら無期限で運用する
REITは、投資対象が「複数の不動産」になります。
各銘柄ごとに「オフィスが中心」「ホテル・商業が中心」「いろいろな不動産にバランス良く」などの方針があり、その方針に従って、REITの資産運用会社が物件を購入・売却するなどの判断をします。
REITを買おうとする投資家は、その方針や実績、資産運用会社の株主などを見て、銘柄を選んで購入します。(アイドルグループで例えるなら「〇〇〇48が好き」という、いわゆる「箱推し」です)
また、無期限で運用するため、ファンドの償還(換金)は想定されておらず、換金性を持たせるために通常は上場して「売買」ができる状態にします。
②REITの分配金利回りは平均4%程度
次に、ご質問にあった「利回り」についてです。
ここでいう「利回り」とは、予想されている配当金を、現在の市場価格で割った「分配金利回り」を指しています。買うタイミングにより、市場価格は変わりますので、利回りも変動することになります。
REITの分配金利回りは、japan-reit.comというサイトで調べることができます。
2023年5月31日時点では、銘柄によって2.44%〜5.69%と差はあるものの、平均4%程度の分配金利回りとなっています。(いずれも税引前・年率)
利回りの差は、各REITが保有している不動産のクオリティ、運用規模、財務体質や資産運用会社の株主構成などが影響しています。
同じREITというカテゴリーであっても、「中身が違えば、お値段が違う」ところは不動産と共通しています。
③REITは大体いつでも売れるが、毎日お値段が動く
次に挙げられる特徴として、REITは東京証券取引所などに上場しているため、基本的にいつでも売買できるという点があります。
「いざという時に、すぐに換金ができることが大事」
と考える方にとっては、とても大事な特徴といえるでしょう。
しかし、上場しているが故に、金融市場の様々な要因で、毎日価格が動きます。つまり、不動産という価格が安定した投資対象でありながら、上場株式のような価格変動があるわけです。
これをポジティブに捉えて「安く買って高く売る」ことができれば大きな利益を上げることもできますが、価格が下がれば4%の分配金の利益は一瞬で吹き飛ぶこともあります。
1日の価格下落で、1年分の配当による利益が相殺されることもあり、REITに投資する場合、こういった価格変動リスクを覚悟しなければいけません。
それ故、結局「どの値段で買うか」が問題となりますが、金融市場は非常に複雑なので、上場商品の価格変動はプロでも予測が難しく、そのタイミングの判断はとても難しいです。
結論として、分配金は安定していますが、投資口価格の変動を加えたトータル・リターンは必ずしも安定していないということができます。
ALTERNAの特徴は?
次に、ALTERNAで扱う商品の特徴をみていきましょう。
①ALTERNAは「これ!」と決めた物件を5年程度で運用
ALTERNAは、投資対象が「特定の不動産」になります。
ALTERNAの商品を検討する方は、実際の案件を見て、気に入れば購入します。(アイドルグループで例えるなら、グループの中の特定の人物を選ぶという、いわゆる「単推し」です)
REITの運用会社には、日々様々なお問い合わせが入りますが、
「あなたの所のAという物件は気に入っているが、Bという物件は要らないから、売ってくれないか」
というようなお声が寄せられます。
投資家のみなさまの価値観は様々ですから、お一人お一人の声にお応えすることはできません。
その代わり、ALTERNAは気に入ったものだけを買っていただき、気に入らないものは見送ることで、お好きなポートフォリオをご自身で組んでいただけますので、そうした声に応えるサービスともいえます。
また、ALTERNAには運用期間に期限があるのも特徴です。
商品によって運用期間は異なりますが(当社のデジタル証券ファンドの場合は5〜7年程度が中心)、運用期間が終わったら、物件を売却し、その売却代金を投資家に分配します。
②ALTERNAの分配金利回り
REITの銘柄によって利回りが異なるように、ALTERNAの利回りも案件により異なります。
例えば、上記の第1号案件の分配金利回りは年3.0%*となっています。
*税引前予想分配金利回りの第一期・第二期平均値
分配金利回りは、投資対象となる不動産のクオリティや立地、特性により3.0%~4.0%程度の幅があり、全ての利回りがREITよりも低いとは限りません。
また、この分配金利回りは、安定した配当が期待できる点ではREITと変わりません。
当社は、既に4つの不動産を投資対象とするデジタル証券ファンドを運用していますが、過去の配当実績は当初想定を100%達成しています。
(参考)運用中のデジタル証券ファンドのIRサイト
当社が運用中のデジタル証券ファンドの実績がご確認いただけます。
- 不動産のデジタル証券~神戸六甲アイランドDC~(譲渡制限付)
- 不動産のデジタル証券~草津温泉 湯宿季の庭・お宿木の葉~(譲渡制限付)
- 不動産のデジタル証券~ALTERNAレジデンス 新宿中落合・経堂・門前仲町~(譲渡制限付)
- 不動産のデジタル証券~ALTERNAレジデンス 銀座・代官山~(譲渡制限付)
(参考)当社の運用実績レポート
主な運用中不動産、運用実績、不動産の取組姿勢がご確認いただけます。
③ALTERNAは、いつでも売買できない代わりに、価格が比較的安定している
先に、ALTERNAのデメリットを述べておきましょう。
それは「売却(換金)できるタイミングに制限がある」ということです。
ALTERNAの商品は東京証券取引所などに上場していないため、いつでも自由に売買することができません。
売買(換金)の申告が可能なタイミングも、売却できない期間があるなど、一定の制約があります。
※詳しくは各案件の詳細ページや目論見書をご覧ください
そのため「頻繁に売買したい」「(損していても)すぐに換金できるようなものがいい」という方には、ALTERNAをオススメできません。
その代わり、上場していないことによって、ALTERNAの商品は価格が比較的安定するという特徴を持っています。
これは、私募REITと呼ばれるプロ限定の商品に似た仕組みですが、2000年代の後半にリーマンショックの影響で上場REITの価格が乱高下した際に、価格変動を嫌うプロ投資家のニーズに応えて生み出されたもので、その後、急速に拡大してきています(残念ながら、仕組み上、一般の方が投資を行うことはできません)。
ではALTERNAの商品の価格は、どのように決まるのでしょうか。
ALTERNAの商品の基準価格は、取引所価格ではなく、不動産の鑑定評価額をもとに更新されます。(不動産の鑑定価格は、第三者の鑑定会社が算出します)更新頻度は半年に1度なので、日々の価格変動に一喜一憂する必要はありません。
「不動産鑑定評価額は、半年に1度とはいえ、値段が動くじゃないか」とご心配の方もいらっしゃるかもしれません。
もちろん、不動産鑑定評価額にも一定の価格変動があり、途中で売却(換金)する際に、あるいはファンドが償還期限を迎えて不動産を売却する際の条件次第で、ファンド終了時に利益が出る、または損する可能性はあります。
しかし、プロ向けであり、かつ都心の一等地にある不動産は安定した取引が見込まれる市場なので、不動産価格はそれほど大きく動かない傾向があります。
実際に、過去の株式・REIT・不動産(の全体の傾向を示す指数)の価格推移を見てみましょう。
薄いグレーが株式(東証株価指数)、濃いグレーがREIT(東証REIT指数)、黄色がREITに組み入れられている不動産の現物価格の傾向を示したものですが、株式やREITと比べると、不動産の価格変動はゆるやかな(小さい)傾向があると見てとれます。
このグラフを見ると、「不動産の価格があまり動いていないのに、REITは動きすぎ(笑)」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
上場REITは、2001年に創設され、当初は株よりも価格変動が少なく、配当が期待できるミドルリスク・ミドルリターンの商品と位置付けられていましたが、現実的にはそうした動きになっていません。このあたりが、ALTERNAを新たに立ち上げた背景にあります。
REITなどに比べて価格が大きく動かないということは、「いつ買うか」というタイミングはあまり考える必要がなく、ALTERNAのほうが心理的な負担は小さいといえるかもしれません。
実際、当社が運用中のデジタル証券ファンドでは、基準価格は発行価格対比で今のところマイナスは発生していません(むしろ+0.5~10.2%の含み益を実現しています)。
※含み益は、不動産価格が大きく動いたというよりも、鑑定価格よりも安い価格で仕入れができた(うまく交渉してお得に買えた)ということによるものです
このように、ALTERNAは(REITと比べると)定期預金のようにしばらく置いておき、コツコツ利回りを溜めておくのがお好きな方に向いている商品といえるかもしれません。
まとめ
【REIT】
- いろいろな物件が入っている「詰め合わせセット」。(分散は効くが、欲しいと思わない不動産も交じることも)
- いつでも売買できる。
- 分配金利回りは年2.4%〜5.6%程度だが、日々価格が動くため、トータル・リターンは必ずしも安定していない。
- 頻繁に売買したい、価格変動OK、むしろリスクを取って値上がり益を狙いたい方にはREITがオススメ!
【ALTERNA】
- 基本は1物件の「単品注文」。(小口化されているので、お好きな不動産を組み合わせて分散したポートフォリオを作ることもできる)
- 売却のタイミングに制約がある。
- 分配金利回りは案件による(第1号案件は年3.0%程度)が、価格が比較的安定している。
- 頻繁に売買する必要はないし、そんな時間もない。安定した配当は欲しいけど、値動きにドキドキしたくない「安心感」を求める方にはALTERNAがオススメ!
※分配金利回りは税引前
いかがでしたでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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