
不動産投資に興味を持たれた方が、最初に選択肢として検討されることが多いのがJ-REITではないでしょうか。
そして最近では、ALTERNA(オルタナ)のような新しいタイプの不動産投資商品も選択肢に加わり、「両者の違いがよく分からない」というお声もいただくようになりました。
本記事では、REITとオルタナで取り扱う不動産のデジタル証券がどう違うのか、どんな方にどちらが向いているのかを、フラットな視点でお伝えします。
REITの基礎から知りたい方は、不動産証券化協会のコンテンツもあわせてご覧ください。
※本記事では以降、特に注記がない限り「REIT」は「J-REIT」を、また「オルタナ」は、オルタナ上で取り扱う不動産を投資対象とするデジタル証券の仕組みを指します。
REITもオルタナも、以下の点は同じです。
投資対象:比較的大型の不動産
投資金額:比較的小口でOK(数万〜数十万円)
運用管理:プロ(資産運用会社)にお任せ
税制:申告分離課税
情報開示:どちらも公募商品なので情報開示は充実
「不動産投資」と聞くと、ワンルームなどのマンション投資をイメージされる方も多いかもしれません。
それに比べてREITやオルタナでは、次のようなメリットがあります。
物件選定、運用はプロが行う
1室ではなく1棟(もしくは複数の物件)を丸ごと購入するので、テナント(借主)が分散されて、空室への備えが期待できる
マンション1室を自分で購入するより、はるかに小口で投資できる
したがって、「不動産の安定した家賃収入には興味があるけど、大きな金額はハードルが高い」「物件の選定・管理は面倒……」といった不動産投資へのハードルを感じている方には適した商品だと言えます。
ではREITとオルタナは何が違うのか。本コラムでは、大きく3つに絞ってお話しします。
比較項目 | J-REIT | オルタナ |
投資対象 | 複数物件の詰め合わせ(運用会社が運用方針に基づき銘柄を選ぶ) | 1〜数件の個別物件(案件ごとに投資家が選ぶ) |
価格の動き方 | 毎日変動(市場価格連動) | 半年に1度、鑑定評価額ベースで更新 |
換金性 | 上場のためいつでも売買可 | 売却タイミングに制約あり |
REITとオルタナは、いずれもプロが運用する不動産投資商品という点では共通していますが、投資対象や仕組みの面では大きく異なります。
以降、投資対象・価格の動き方・換金性の3つの視点から、それぞれの特徴を見ていきましょう。
REITは、2001年に東京証券取引所に上場する形でスタートしました。
「不動産投資を、株式のように手軽に売買できるようにする」ことがコンセプトです。日々市場で価格がつくので、いつでも売買できるのが最大の特徴となっています。
一方、オルタナで取り扱う商品は、上場していません。基準価格は不動産鑑定評価額をもとに半年に1度更新される仕組みです。
「日々の値動きに左右されず、不動産本来の価値に近い形で保有する」ことがコンセプトになっています。
どちらが優れているかではなく、投資家が何を求めるかによって、向いている商品が変わる——これが本記事でお伝えしたい本質です。
REITは、投資対象が「複数の不動産」です。
各銘柄ごとに「オフィス中心」「ホテル・商業中心」「複合型」などの投資方針があり、その方針に従って、REITの資産運用会社が物件を購入・売却するなどの判断をおこないます。
また、REITは原則として運用期間の定めがないため、ファンドの償還(換金)は想定されていません。
換金性をもたせるために、通常は上場して「売買」ができる状態になっています。
対してオルタナは、投資家が案件単位で商品を選ぶ形式です。
案件によって投資対象は異なりますが、案件ごとに投資対象があらかじめ明示されており、投資家がその中身を確認したうえで購入を決められるという点がREITと大きく異なります。
複数の案件を組み合わせて、自分だけのポートフォリオを組むことができることもポイントです。
「オフィスとレジデンスで分散したい」「ホテル比率を高めたい」といった設計を、投資家ご自身の判断で進められるのがオルタナ(デジタル証券)の特徴と言えます。
REITが「幕の内弁当」だとしたら、オルタナは自分でひとつずつお惣菜を選ぶ感覚でしょうか。
「幕の内弁当」の中の特定のおかずを変えたいと思っても、それができないように、REITも中身の不動産を投資家が個別に選ぶことはできません。
一方、オルタナは「今日はこのおかずが食べたい」というように、案件の中身を見て、気に入ったものだけを組み合わせられます。
多くの方が気にするのが「利回り」と「価格変動」ではないでしょうか。
ここは、REITとオルタナで仕組みが大きく異なるポイントですので、丁寧に見ていきます。
REITの分配金利回りは、2026年5月19日時点で、銘柄によって3.78〜6.81%と幅があり、平均は約4.9%(税引前・年率)です(*1)。
利回りの差は、各REITが保有している不動産のクオリティ、運用規模、財務体質や資産運用会社の株主構成などが影響しています。
加えて、REITは市場で日々価格がつく商品ですので、金利や為替、株式市場の動向などにより投資口価格が動きます。
値上がりすれば分配金に加えて売却益も期待できますが、逆に値下がりする局面もあるのが実態です。
したがって、REITは分配金は安定しているものの、金融市場と連動した投資口価格の変動を加えたトータル・リターンを考えると、必ずしも安定していないと言えるでしょう。
一方、オルタナで取り扱う商品の想定分配金利回りは、案件によって年3.0〜5.2%(税引前・年率、直近2期平均もしくは第1・2期平均)となっています。
オルタナで取り扱う商品の基準価格を決めるのは、「不動産鑑定評価額」。
第三者の鑑定会社が算出するもので、更新頻度はおおよそ半年に1度のため、日々の値動きを追いかけて一喜一憂する必要はありません。
過去の株式・REIT・不動産(現物)それぞれの価格指数の推移を見ると、株式やREITと比べて、不動産の価格変動はゆるやかであることがわかります。

もちろん、不動産鑑定評価額にも一定の変動はあり、途中で売却(換金)する際や、ファンドが償還期限を迎えて不動産を売却する際の条件次第では、ファンド終了時に利益が出ることも、損失が出ることもあり得ることは注意しておきたいポイントです。

3つめの違いは「換金性」と「運用期間」です。両者は表裏一体ですので、まとめて見ていきます。
REITは上場しているため、市場が開いている時間であればいつでも売買できます。
「急な出費が発生した」「相場が下がりそうなので利益確定したい」といった判断を、当日中に実行できるのが強みです。
運用期間も無期限ですので、投資家が売却を決めるまで保有し続けられます。
対してオルタナで取り扱う商品は、いつでも自由に売買できるわけではありません。
案件ごとに売買(換金)が可能なタイミングに制約があり、一定期間は売却できない場合もあります。
しかし、この制約こそが、オルタナの「価格が安定しやすい」特徴を裏付けるものなのです。
未上場だからこそ、金融市場の影響を受けにくく、鑑定評価額ベースの落ち着いた価格推移が期待できます。
また、オルタナで取り扱う商品の運用期間は、おおよそ5〜7年程度。運用期間が終わったら、物件を売却します。ここで売却益が出た場合には、分配金に上乗せする形で投資家に還元される仕組みです。
なお、この「上場していないことで価格が安定する」という仕組みは、私募REITと呼ばれるプロ限定商品に似ています。
私募REITは、2000年代後半のリーマンショックがきっかけで拡大しました。上場REITの価格が乱高下するなか、価格変動を嫌うプロ投資家のニーズに応える形で広がった仕組みです。
オルタナの商品は、その設計思想を個人投資家の方にもお届けすることをコンセプトとしています。
オルタナは2023年5月にサービスを開始し、これまでに複数のデジタル証券を取り扱ってきました。
2026年6月末時点において、4案件が早期償還を迎えており、いずれも募集時の想定を上回る実績利回りを実現しています。

案件名 | 想定運用期間 | 実績運用期間 | 募集時想定利回り(税引前) | 実績利回り(税引前、償還含む) | エクイティ・マルチプル |
三井物産のデジタル証券〜浅草〜 | 約5年 | 約1年3ヶ月 | 年4.3% | 年6.1% | 1.08x |
三井物産のデジタル証券〜横浜〜 | 約4年11ヶ月 | 約1年11ヶ月 | 年3.5% | 年5.0% | 1.10x |
三井物産のデジタル証券〜日本橋・人形町〜 | 約4年10ヶ月 | 約2年4ヶ月 | 年3.0% | 年5.0% | 1.12x |
三井物産のデジタル証券〜浅草・まちなか旅館〜 | 約5年0ヶ月 | 約1年9ヶ月 | 年4.0% | 年6.6% | 1.12x |
いずれも当初の想定運用期間(4年10ヶ月〜5年)に対して、1〜2年程度で早期償還を迎えた事例です。投資家が受け取った累計分配金は、投資元本に対して1.08〜1.12倍となりました。
なお、「価格が大きく動かない設計」でありながら、当初想定を上回る成果につながる可能性があることは、オルタナで取り扱う案件のひとつの特徴と言えます。
もちろん、こうした早期償還や想定を上回る利回りは、将来にわたって同様に実現できることを約束するものではありません。
ここまで読んでいただいた方は、なんとなく「自分に向いているのはどちらか」が見えてきたのではないでしょうか。整理すると、以下のようになります。
頻繁に売買したい、流動性を最優先したい
日々の価格変動を許容できる(積極的に値上がり益も狙いたい)
銘柄選び・売買タイミングを自分で判断するのが好き
「これ」と決めた案件を、腰を据えて保有したい
日々の値動きに時間や気持ちを消耗したくない
分配金をコツコツ積み上げる感覚が好き
上場商品とは違う、安定志向の設計に魅力を感じる
もちろん、REITとオルタナを併用することもおすすめです。
「短期の流動性はREIT、中長期の安定運用はオルタナ」といった役割分担で持つことで、ポートフォリオ全体の分散効果を高めることが期待できます。
最後に、当社によく寄せられるご質問をご紹介します。
A. 決め手は「日々の価格変動(相場)との付き合い方」だと思います。いつでも売買できる分、日々の値動きがあるのがREITです。
一方、日々の相場を気にせず、資金を置いてじっくり分配金等を待ちたい方はオルタナ、というのが大まかな目安です。両方持って役割分担される方も多くいらっしゃいます。
A. 「安心」の中身によって答えは変わります。日々の価格変動の小ささを重視する方には、オルタナのほうが値動きは緩やかです。
換金しやすさを重視する方には、REITのほうが即時性の面で優れています。
ただし、いずれの商品も分配金は運用状況によって変動しますし、売却時の価格次第では損失が生じる可能性もあります(REITは銘柄の売買価格、オルタナは対象不動産の売却価格に応じて損益が発生します)。
ご自身が重視する軸を整理してから比較するのがおすすめです。
A. もちろん可能です。むしろ、性質の異なる不動産投資商品を組み合わせることで、ポートフォリオ全体の分散効果が期待できます。
本記事では、REITとオルタナの違いを、投資対象・価格の動き方・換金性という3つの視点から見てきました。
REITは、日々の市場価格で売買できる流動性が魅力の商品です。対してオルタナの特徴は、日々の価格変動に左右されず、腰を据えて不動産に投資できること。
どちらが優れているというより、投資家ご自身のスタイルとの相性で選ぶのが本質だと考えます。
REITにはREITの良さがあります。ただ、「もっと落ち着いた不動産投資がしたい」「日々の値動きから解放されたい」と感じている方には、オルタナが新しい選択肢になるかもしれません。
まずは実際の案件をご覧いただき、ご自身の考え方に合う投資対象かどうか、確かめてみてください。
*1)https://www.japan-reit.com/list/rimawari/
*2)募集時想定の利回りは、第1期・第2期の想定分配金利回りの平均値(税引前)です。実績利回りは運用期間累計の分配金利回り(税引前、償還を含む)です。エクイティ・マルチプルは、投資元本に対して、運用期間累計の分配金(税引前、償還を含む)が何倍になっているかを表しています。過去の運用実績は、将来の運用成果を保証するものではありません。また、年率換算時に用いる日数は各商品の信託期間です。
※「三井物産のデジタル証券」の組成・販売は、三井物産株式会社の子会社である三井物産デジタル・アセットマネジメント株式会社によるものです。
三井物産デジタル・アセットマネジメント
三井物産グループが提供する資産運用サービス「オルタナ(ALTERNA)」を運営中。オルタナや資産運用に関するコラムを発信しています。
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