
2026年5月12日、オルタナ初の底地案件となる「三井物産グループのデジタル証券〜イオン大宮〜(譲渡制限付)(以下、本商品)」の仮申込を開始しました。本記事は、その投資対象である「底地(そこち)」について解説します。
底地は、「建物ではなく、土地だけを所有し、長期の地代収入を得る」不動産投資です。
はじめて聞く方にもイメージしやすいよう、Part 1では底地の基本を、もっと詳しく知りたい方に向けて、Part 2では市場動向・利回り・契約・リスクの見方などを順番に整理します。
ご関心に応じて読み進めるところまでお読みください。
不動産投資と聞くと、マンションやオフィスビルを思い浮かべる方が多いかもしれません。けれども、じつは「建物ではなく、土地だけを所有する」という投資スタイルがあります。それが「底地(そこち)」です。
底地のオーナー(地主)は土地を貸し出し、借りた側(借地人)がその上に建物を建てて事業を営みます。地主は建物に関与せず、契約で定めた「地代(土地の賃料)」を受け取りつづける——これが底地の基本構造です。
ロードサイドの大型商業施設、チェーンのファミリーレストラン、ガソリンスタンドなどでは、土地の所有者と建物の運営会社が別々になっているケースがあります。運営会社は地主から長期で土地を借り、建物を自前で建てて営業します。
つまり底地投資とは、地主の立場に立って、地代収入を得る不動産投資です。

土地を所有する地主と、建物を所有・運営する借地人が分かれているのが、底地の基本構造です。
底地が安定型の不動産投資とされる理由は、主に3つあります。
① 建物まわりのコストを負担しない
マンションやビルのオーナーは、修繕費・設備更新費・管理費を継続的に負担します。一方、底地の地主が所有するのは土地のみです。建物のコストは原則として借地人が負担するため、地主の支出は土地の固定資産税などに限定されます。
② 契約が長期で設計される
底地の契約期間は、旧法では20年以上、現在の借地借家法では原則30年以上と長期にわたります。また、本商品においても採用されている「事業用定期借地権設定契約」は、10年以上50年未満で結ばれ、更新がないのが特徴です。借地人は契約期間中、自ら建物を建てて事業を営みます。
③ 固定的で安定した地代収入
地代は契約で取り決めた金額で、長期にわたって固定的に支払われるのが一般的です。市況や入居者の入れ替わりで賃料が変動するタイプの投資とは、この点が異なります。
底地投資の特徴をまとめると、以下のようになります。
メリット | 留意点 |
|---|---|
建物の修繕・管理コストを負担しない | 借地人の事業継続に収益が左右される |
長期契約により地代収入の見通しが立ちやすい | キャピタルゲインの要素は大きくない |
市場の短期変動の影響を受けにくい | 流動性はJ-REITなどより限定的 |
大前提として、底地投資も利回り保証・元本保証の商品ではありませんが、信用力の高い借地人を迎えて長期契約を結ぶことで、リスクを抑える設計が可能です。
底地は通常、数千万円〜数百億円単位で取引される大型不動産です。個人が土地全体をまるごと所有するのは、金額面でも分散の面でも現実的ではありません。
オルタナが提供するデジタル証券は、こうした大型不動産を小口化する仕組みです。本商品では、個人でも10万円から底地への投資機会を得られます。

ここからはやや専門的な解説となります。
2025年9月17日の日本経済新聞では、土地と建物の所有権を分離して土地のみを取引する「底地ビジネス」が拡大しており、2026年には国内市場が累計10兆円規模になるとの推計があると報じられました。
背景にあるのは、企業側の資産効率化の動きです。企業が土地だけを外部に売却し、建物の運営に経営資源を集中する流れが広がることで、底地の「売り手」も増えています。
出典:日本経済新聞「土地だけ取引「底地ビジネス」、26年に10兆円市場へ イオンなど活用」(2025年9月17日)
記事では、米投資ファンドのKKR社や、本商品の借地人であるイオンリテール社も、底地ビジネスの活用事例として紹介されています。
企業が資産効率化のために土地を外部に売り、建物の運営に集中する。この流れは、これまで個人投資家の目に触れにくかった大型の優良底地への投資機会が広がることを意味します。
また、底地は、機関投資家(プロ)の世界では取り組みが進んでいる投資対象です。
象徴的な存在が、地主株式会社グループの「地主プライベートリート投資法人」です。国内唯一の底地特化型の私募REITで、2026年1月には10年連続の増資を実現し、資産規模は2,911億円に到達。中期目標3,000億円の先に、早期の5,000億円達成を目指すとされています。
出典:地主株式会社「地主リートのご紹介」
不動産私募ファンド市場全体も、2025年12月末時点で約47.1兆円の規模に達しています(三井住友トラスト基礎研究所、2026年3月公表)。底地は、長期安定インカムを求める機関投資家マネーの受け皿として、存在感を高めてきました。上場J-REITでも、商業施設を中心に底地が組入資産として定着しています。
出典:三井住友トラスト基礎研究所「私募ファンド市場動向」(2025年12月末時点)、土地総合研究所「J-REIT における不動産投資の動向~2025 年の状況」(2026年3月公表)
底地投資の安定性は、契約内容に大きく左右されます。特に見ておきたいのは、借地権の種類、契約期間と解約不可期間、地代改定条項の3点です。
① 普通借地権 vs. 定期借地権
普通借地権は更新が基本であり、地主が更新を拒絶するには「正当事由」が必要です。正当事由のハードルは高く、借地人の権利が強い契約と言えます。また、既存の底地では、地代が近隣相場より低い水準で固定化しているケースもあります。
一方、定期借地権、特に事業用定期借地権は、契約期間満了によって更新なく終了し、更地で返還されることが制度設計上の前提です。現在の新規の底地案件では、この事業用定期借地権が採用されるケースが多くなっています。
② 契約期間と解約不可期間
事業用定期借地権は10年以上50年未満で設定されます。契約のなかに「解約不可期間」を設ける場合があり、借地人が一定期間は中途解約できないとする条項です。この期間が長いほど、借地人側の事業コミットメントが明文化されていると考えられます。
③ 地代改定条項
地代の改定ルールは案件によって異なります。固定方式、定期見直し方式、物価連動方式などがあり、長期でのインフレ耐性を判断する重要な要素です。
本商品では、
事業用定期借地権設定契約(期間:50年弱)
10年の解約不可期間
固定資産税などの公租公課相当額の増減分を反映する賃料改定
という構造になっており、底地投資の安定性を重視した設計です。
本商品の想定利回りは年3.4%*です。
*税引き前予想分配金利回りの第一期・第二期平均値
底地投資の利回りを見る際に大切なのは、数字の高さだけでなく、その利回りがどのような収益構造に支えられているかです。底地は、短期で高い値上がり益を狙うというより、長期の地代収入を積み上げる安定インカム型の不動産投資です。
本商品では、1-2や2-2で触れたような「コストの見通しやすさ」「契約上の安定性」に加えて、以下のような要素が、収益の見通しやすさを支えています。
借地人の信用力:イオングループの中核企業であるイオンリテール社
優れた商圏:人口増加が続くさいたま市北区に位置し、徒歩圏内でもマンション開発が進んでおり、今後の商圏人口拡大が見込まれる中で、4万㎡超の土地を確保している希少性
本商品は、単に高い利回りを狙う商品ではなく、信用力の高い借地人、優れた商圏、長期契約等に支えられた、安定インカム型の商品として見るのが自然です。機関投資家が長年資金を向けてきた底地アセットに、個人が10万円から投資機会を得られる点に、本商品の独自性があります。
底地の価値を考えるとき、押さえておきたいのは、
底地の価値=
「①契約期間中にもらえる地代の価値」
+
「②将来戻ってくる土地の価値」という「二段構え」の構造です。
① 地代をもらう権利の現在価値
底地のオーナーがまず持っているのは、「契約期間中、地代を受け取りつづける権利」です。事業用定期借地契約のように、長期かつ固定的な地代が約束されている場合、この権利は将来のキャッシュフローを現在価値に割り戻したものとして評価されます。これが、収益還元法(DCF法・直接還元法)の考え方です。
② 契約満了時に戻ってくる「更地」の価値
事業用定期借地契約では、契約期間が満了すると、借地人が建物を取り壊し、土地は更地として地主へ返還されることが前提です。つまり、契約期間中は地代を受け取り、契約満了後には土地そのものが戻ってくる構造です。
この、契約満了後に更地として戻ってくる土地の価値を、(復帰)更地価格と呼びます。
不動産鑑定の世界でも、定期借地が設定された底地の価値は、
「①契約期間中の地代収入の現在価値」
+
「②期間満了後の更地価格の現在価値」という二項の合計として考えます。
底地価格は、事業用定期借地契約がスタートした段階では①が中心となりますが、事業用定期借地契約期限が近づくと②が中心となります。
本商品の不動産鑑定価格は86億円ですが、更地価格は101億円と評価されており(価格はどちらも2026年3月31日時点)、このように現在価格<更地価格となるような場合、底地価格は徐々に更地価格に復帰することになるため、底地という資産は、
中長期保有の視点を持つ投資家ほど、価値を享受しやすい
という性質を持ちます。
このような背景から、本商品においては当初運用期間を5年1ヶ月としていますが、長期での保有がお客様の利益につながりうると判断した場合に、運用期間を延長できる選択肢を設けています。延長を希望されないお客様については、当社による買取を行う方針です。
個人が底地というアセットにアクセスできる主な選択肢は、現物不動産、J-REIT、不動産クラウドファンディング、そしてデジタル証券です。それぞれ、投資金額、投資対象の規模、税制、流動性が異なります。
現物不動産(底地の現物購入)
底地の現物取引は数千万円〜数億円単位が基本です。個人では、金額面でも分散の面でもハードルが高い方法です。
J-REIT(底地を組み入れた上場銘柄)
複数のJ-REITが、ポートフォリオの一部に底地を組み入れています。個人も市場で売買できますが、底地特化型の上場REITは国内に存在せず(2026年5月12日現在)、建物付きの資産も含む複合型ポートフォリオが中心です。また、J-REITは市場価格が日々変動します。
不動産クラウドファンディング(底地ファンドを含む)
近年、不動産クラウドファンディングでも底地特化型ファンドが組成される事例があります。ただし、オルタナのデジタル証券(セキュリティトークン)とは設計が異なります。
項目 | オルタナ(デジタル証券) | 底地クラファン |
|---|---|---|
法的枠組み | 金融商品取引法 | 不動産特定共同事業法など |
投資対象の規模 | 大型(億〜百億円規模) | 小〜中規模 |
運用期間 | 5年程度の中長期 | 数か月〜3年程度 |
税制* | 申告分離課税(20.315%) | 一般的に総合課税 |
二次流通 | 二次流通市場あり | 原則途中売却不可 |
同じ「底地投資」でも、オルタナのデジタル証券は、税制・流動性・投資対象の規模という点で、一般的な不動産クラウドファンディングとは異なる特徴を持っています。
*税法等が改正された場合は、上記の内容が変更になることがあります。また、個々のお客様の固有の事情によっては、異なる取扱いが行われることがあります。実際の申告の際は、税理士・税務署等の専門家へご相談ください。
底地投資の主要なリスクは、以下の通りです。
借地人の事業継続リスク(借地人が継続的に地代を払えるか、使い続けてくれるか)
流動性リスク(底地は他の不動産と比較して流動性が限定的、出口で買い手が見つかるか)
不動産の価格変動リスク、金利上昇リスク(底地に限らず重要)
※本商品に関するその他リスクについては目論見書や案件詳細ページをお読みください
ここまでの内容を踏まえると、底地の投資判断のチェックポイントは以下の通りとなります。
チェックポイント | 確認したい内容 | (参考)本商品は? |
|---|---|---|
借地人の信用力 | 長期にわたり地代を支払い続けられるか | 借地人=イオングループの中核企業(イオンリテール社) |
立地の事業継続性 | 借地人がその土地で事業を続けやすいか(商業施設の場合は商圏人口) | 人口増加が見込まれる優れた商圏と立地の希少性 |
契約形態 | 定期借地か、契約期間・解約不可期間はどう設計されているか | 事業用定期借地権設定契約(期間:50年弱) |
地代改定条項 | 金利、固定資産税などのコスト変動に対応できる設計か | 固定資産税などの公租公課相当額の増減分を反映する賃料改定 |
出口戦略 | 物件売却時に買い手が見つかりやすいような物件か(候補がいるか) | 賃借人側(イオンリテール社)に優先交渉権あり |
底地は、短期的な値上がりを狙う資産ではありません。長期で淡々と地代を受け取りつづけるという「不動産投資の原点」ともいえるアセットです。
機関投資家の世界では底地特化型の私募REITが3,000億円規模に近づき、日経新聞が累計10兆円市場になると報じるほど、底地への注目は高まっています。
その流れのなかで、個人投資家が10万円から投資機会を得られる入口となるのが、本商品です。
成長を取りにいく資産と、安定を重視する資産を組み合わせる。そうした資産の役割分担という発想の中で、底地を検討する意義があります。
オルタナ初の底地案件「三井物産グループのデジタル証券〜イオン大宮〜(譲渡制限付)」も、ぜひ皆様のポートフォリオの1つとしてご検討ください。

※本商品は、三井物産株式会社の子会社である三井物産デジタル・アセットマネジメント株式会社によって、組成・販売されるものです。また、本商品の投資対象はイオン大宮の建物が存在する土地で、本土地をイオンリテール株式会社に賃貸します。
三井物産デジタル・アセットマネジメント
三井物産グループが提供する資産運用サービス「オルタナ(ALTERNA)」を運営中。オルタナや資産運用に関するコラムを発信しています。
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