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「2024年のマーケット動向と、2025年の見通しを教えてください」にお答えします!

「2024年のマーケット動向と、2025年の見通しを教えてください」にお答えします!

※本コラムは投資上級者向けの内容となります。

気がつけば年の瀬を迎え、このコラムを読んでくださっているみなさまはどんな2024年をお過ごしだったでしょうか。今回は、2024年のマーケット動向を振り返りながら、2025年はどのような金融トピックに注目すべきかを考えてみたいと思います。みなさまの資産運用と投資判断の一助になれば幸いです。

金融政策動向

 2023年は世界の主要中央銀行はインフレ抑制を目標として金融引締めスタンスを取っていました。しかし2024年に入ってからは一転、多くの国で金融緩和サイクルに入ります。その中でも中国は不動産市場の構造的な悪化と輸出減少を背景に、2023年からすでに緩和スタンスを明確にしてきました。一方アジア太平洋諸国では先進国より景気サイクルが遅れており、依然インフレ率が高止まっていることから引締め的な政策が継続している国も散見されます。

世界が注目している米国の金融政策は、2024年9月から利下げ局面に入り、FRB(米国連邦準備制度理事会)は合計3回の利下げを実施。都合1.0%の利下げを行いました。12月18日、3会合連続の利下げを決めた一方、パウエルFRB議長は、インフレの高止まりを巡る懸念を再び前面に押し出す姿勢を強く示唆しました。

更にFOMC(米連邦公開市場委員会)参加者は2025年の利下げ回数の見通しを中央値で0.25%ずつ計2回相当とし、2024年9月時点の計4回相当から半減させています。今後、インフレ率のさらなる改善なしに利下げを実施するのは難しくなりそうです。

日本は、世界の流れとは逆行して、本年ようやく利上げ局面に入りましたが、政策金利は依然0.25%と低位であり実質金利は大幅なマイナスになっており、政策スタンスとしては依然大幅な緩和状態を維持していると言えるでしょう。


【表1】 各国の政策金利動向(▲は利上げ、▼は利下げを示す)
(データ出所:各国中央銀行のデータを元に三井物産デジタル・アセットマネジメント作成)

長期金利動向

 各国の長期金利(現地通貨建て10年国債利回り)はまちまちの動きとなりました。日本を除く先進国の多くでは、2024年に金融緩和局面に入ったことから、年央には利下げに伴い長期金利も低下傾向が続きました。年後半になると各国のインフレの意外なほどのしつこさが懸念され、長期金利は一転上昇に転じています。

一方で高成長・高インフレ国である新興国のインドでは、景気サイクルがピークを打ったとの観測から長期金利は低下傾向が続きました。スイスは、通貨高を受けてインフレが収まっていることから長期金利は大幅に低下。中国では2023年から景気減速が明らかになったことから長期金利の低下傾向は続いており、30年国債利回りでは史上初めて日本と中国の利回り逆転が起こりました。

日本では日本銀行がYCC(イールドカーブコントロール)の柔軟化を進めたことを受け、10年国債利回りは1.0%程度まで上昇しました。 

【グラフ1】10年国債(現地通貨建て)利回りの年初来変化(2023年12月31日と2024年12月20日の比較、%)
(出所:Investing.comのデータを元に三井物産デジタル・アセットマネジメント作成)

株式市場動向

2024年は株式市場にとっては全般的に良い年でした。

米国を中心とした大型成長株が好調で、米国株式市場は2024年に顕著な上昇を遂げました。特に、テクノロジーセクターの「マグニフィセント・セブン」と称される主要企業(Apple、Microsoft、Amazon、Alphabet、Meta Platforms、NVIDIA、Tesla)が市場を牽引し、S&P 500指数の約30%を占めるまでに成長しました。 

一方で、小型株指数であるS&P SmallCap 600は、これらの大型テクノロジー企業の影響力の増大により、相対的に遅れをとっています。また、対外的に米ドルの強さが国際的な投資資金を米国に集中させました。

ヨーロッパの株式市場は、米国市場と比較して割安感が指摘されています。特に、南欧諸国(ポルトガル、イタリア、ギリシャ、スペイン)の経済が回復基調を示し、株式市場も好調です。これらの国々は、供給過剰や中国の景気減速の影響を受けにくく、エネルギー供給の問題も比較的少なかったため、個人消費が下支えしています。

新興市場の株式市場は、米国の高金利やドル高の影響を受け、資金流出や通貨安に直面しています。東南アジアの一部の国では通貨安からインフレが高止まりしており株式市場は低迷する。一方で、インドなど資金流出が限定的であった国では内需の強さや改革の進展により、比較的堅調なパフォーマンスを示しています。

中国では景気減速傾向が続いていますが、9月に経済対策として金融当局が市中に大量の資金を供給したことが好感され株式市場は急騰しました。

 

【グラフ2】株式市場・国別騰落率(2023年12月31日から2024年12月20日まで、%)

(データ出所:Investing.comのデータを元に三井物産デジタル・アセットマネジメント作成)

各国の株価指数は次の通り。米国:S&P500、NASDAQ総合、中国:FTSE China A50、ドイツ:DAX、香港:Hang Seng、日本:TOPIX、インド:BSE Sensex、イギリス:FTSE100、スイス:SMI、フランス、CAC40、インドネシア:Jakarta Stock Exchange Composite

資産クラス横断的にみてみると

2024年は上述した通り、利下げ期待を背景として資産クラスとしては株式が好調であった一方、インフレ率の高止まり懸念から先進国債券のパフォーマンスは年初来でマイナスに転じました。また長期金利上昇の影響を如実に受けたのが日本の上場REIT(上場不動産投資信託)です。

商品市況を見てみると、ニューヨーク原油先物価格は、供給不安や需要見通し悪化により、1バレルあたり60ドル台後半から70ドル付近での小動きに終始し、年初来では若干下落しています。中東情勢の緊張や主要産油国の生産調整が供給懸念を引き起こした一方で、中国やドイツの景気減速から需要減退懸念が価格の下押し要因となりました。

ニューヨーク金(ゴールド)先物相場は非常に堅調に推移し10月末には1トロイオンスあたり2,785ドルの市場最高値を記録。現在では2,600ドル台で推移しています。その背景にあるのは、

  1. 地政学的リスクやインフレ懸念から、安全資産としての需要が高まったこと

  2. インフレヘッジ目的の金の需要が高まったこと

  3. 現在は堅調に推移している米ドルですが、インフレが続くと通貨価値が減価するのではとの懸念があること

  4. 中国が外貨準備としての米国債の保有高を圧縮する一方、金の備蓄を増やしたこと

などが挙げられます。

 

【グラフ3】様々な資産クラスのパフォーマンス(2023年12月31日から2024年12月20日まで、%)

(データ出所:Investing.comのデータを元に三井物産デジタル・アセットマネジメント作成)

各資産クラスの指数等は次の通り。金(ゴールド):COMEX金先物、中心限月、米国:S&P500、ドイツ:DAX、香港:Hang Seng、日本:TOPIX、インド:BSE Sensex、イギリス:FTSE100、米国REIT:CRSP US REIT Index、原油:WTI先物中心限月、米国債券:Investment Grade Corporate Bond ETF、日本債券:野村BPI総合、フランス、CAC40、日本REIT:東証REIT指数

 

2025年の展望

まず世界経済の見通しの主なポイントを見てみましょう。

経済成長率

IMF(国際通貨基金)は2025年の世界経済成長率を約3.0〜3.5%と予測しています。新興国(インド、東南アジア等)が成長を牽引する一方、先進国は成長が鈍化する可能性があります。

インフレと金利

世界的にインフレは2025年にかけて収束が進むと期待されていますが、エネルギー価格や賃金上昇がインフレ再燃のリスクを伴います。

金利動向については、主要な中央銀行(FRB、ECBなど)は2025年も低金利を維持する可能性が高いと考えられますが、景気の再過熱感が見られれば利上げ再開するとの意見が一部に出始めています。

来年前半の株式市場は引き続き米国のテクノロジー株主導が続く可能性が高いでしょう。生成AIというテーマがどこまで市場を牽引するかがポイントになります。

一方で割安に放置されたエネルギー、金融、不動産といった割安株セクターへの物色が広がる可能性があり相場付きが変わることも考えられます。 

為替相場は、米国の利下げが続き日本の利上げが続けば円高ドル安に転換する可能性が十分にあり得ます。ただ米国のインフレの粘着性を示す指標はすべてFRBの目標である2%を大きく上回っており、またアトランタ連銀のコアCPI指数は4%近辺で横ばいとなっているので、米国の利下げが遅々として進まないというリスク要因も排除できず予断は許せないと考えられます。2025年の前半も米国のインフレが市場の最大の関心事になりそうです。


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