
2月13日は「NISAの日」。新NISAが始まって2年が経ち、投資がより身近になったと感じる方も多いのではないでしょうか。
投資信託の純資産ランキングを見ると、上位には米国株式や全世界株式のインデックスファンドが並んでいます。
「世界中に分散できる」「数百社に分散されている」と考えて投資されている方も多いのではないでしょうか。
確かに、個別株1社だけに投資するよりは分散されています。でも、それだけで十分な「分散投資」と言えるでしょうか。
投資の世界には、「卵を一つのかごに盛るな(Don't put all your eggs in one basket)」という格言があります。リスクを分散させることの大切さを説いた言葉です。
実は、多くの投資家が陥っているのが「分散しているつもりで、実は分散できていない」という状態。本コラムでは、分散投資の本当の意味を、わかりやすい例を使って解説します。
分散投資の本質を理解するために、こんな例を考えてみましょう。
あなたが2つの飲食店に投資できるとします。
パターンA:かき氷屋さん2軒に投資
パターンB:かき氷屋さん1軒+おでん屋さん1軒に投資
どちらが安定した売上を維持できるでしょうか?

パターンAは確かに2軒に「分散」しています。しかし、夏はどちらも大繁盛する一方、冬はどちらも客足が遠のく可能性が高くなります。つまり、季節という同じ要因に左右されるのです。
一方、パターンBはどうでしょう。夏はかき氷屋が儲かり、冬はおでん屋が儲かる。季節が変わっても、どちらかが収益を上げてくれます。
これが「値動きの違うものに分散する」という本質なのです。
投資も同じ。大切なのは「いくつに分散したか」という数ではなく、「どんな性質のものに分散したか」という質です。

では、人気の投資信託の中身を見てみましょう。
全世界株式に投資するファンドであっても、実は米国株の比率が6割を超えているものが多くあります。
つまり、米国株式中心のファンドと全世界株式ファンドを両方持っていても、結局は「米国経済の影響」を大きく受けるのです。先ほどの例で言えば「かき氷屋×2軒」に近い状態と言えるでしょう。
「世界中に分散投資している」つもりでも、実際には特定の国や地域に偏っている。これが、多くの方が陥りがちな状況なのです。

では、本当の意味での分散投資とは何でしょうか?
答えは、値動きが違う資産を組み合わせること。具体的には、株式だけでなく、債券、不動産、金(ゴールド)など、異なる「資産クラス」に分散することです。
その選択肢のひとつに「オルタナティブ資産」があります。「オルタナティブ資産」とは、株式や債券といった伝統的な資産クラス以外の資産の総称のこと。
「Alternative=代替的」、つまり株式・債券に代わる(補う)資産という意味です。
これらは、株式市場とは違う理由で値段が動くため、ポートフォリオに組み入れると全体のパフォーマンスが安定しやすくなる性質を持っています。
わかりやすい例が、不動産です。
株価は、景気や投資家の動向によって毎日変動します。一方、不動産投資の収入のメインは「実際に入ってくる賃料収入」。景気が多少悪くなっても、借り手がいれば賃料は入り続けます。

2008年のリーマンショック時、東証株価指数(TOPIX)は約40%下落、上場不動産投資信託(J-REIT)は約60%下落しました。
一方、不動産現物の下落率は約10%に留まっています。2020年のコロナショック時も、株式やREITが大きく変動する中、不動産現物は比較的安定した動きを見せました。
なお、中長期的には不動産価格も株式市場と連動する傾向があると言われています。それでも、日々の価格変動は不動産のほうが小さく、賃料収入という安定したキャッシュフローが得られる点で、ポートフォリオの安定化に寄与する面があると言えるでしょう。
オルタナティブ資産が注目されている理由は、主に3つあります。

1. 株・債券と値動きが違う(相関が低い)
株式市場が暴落しているときでも、不動産や金は比較的安定していることが多く、ポートフォリオ全体の値動きを抑えることができます。
2. 安定したキャッシュフローが期待できる(特に不動産)
株式の価格や配当は業績や株式市場に連動して変動しますが、不動産の賃料収入は比較的安定しています。借り手がいる限り、毎月決まった収入が入ります。
3. インフレに強い
物価が上がると、不動産の価値や賃料も上がりやすい傾向があります。金も古くからインフレヘッジとして活用されてきました。
このような理由から、プロの投資家(機関投資家)たちも積極的にポートフォリオにオルタナティブ資産を組み入れてきました。
「オルタナティブ投資って難しそう……」と思われるかもしれませんが、今は少額から手軽に始められる選択肢が増えています。
不動産への投資方法として、REIT(上場不動産投資信託)なら少額から証券口座で購入でき、NISA口座にも組み入れられます。ただし、上場商品のため株式市場の影響を受けやすいことには注意が必要です。
一方、不動産クラウドファンディングや不動産デジタル証券は、現時点(2026年時点)ではNISA口座に組み入れることはできません。しかし、未上場の実物不動産に投資するため、株式市場の値動きに左右されにくいという特徴があります。
不動産クラウドファンディングは1万円程度から、不動産デジタル証券は10万円から投資できるケースが多いです。
金(ゴールド)への投資も、金ETFや投資信託なら数千円から証券口座で購入でき、NISA口座での運用も可能です。純金積立なら月1,000円から継続的に積み立てられます。
NISA口座で株式や金ETFなどを積み立てつつ、余裕資金でオルタナティブ資産も持つ。これが、現代版の「卵を分けて盛る」方法と言えるでしょう。

分散投資は、「いくつに分けたか」という数ではなく、「どう分けたか」という質が重要。値動きの違う資産を組み合わせる——これが本当の分散投資と言えます。
NISAは非課税という大きなメリットがある素晴らしい制度です。大切なことは、NISAを活用しながら、分散投資を行うこと。
株式・債券・オルタナティブ資産をバランスよく組み合わせることで、長期的な資産形成を目指しましょう。
※本コラムは、特定の商品や投資手法を推奨したり、投資の成果を保証したりするものではありません。投資を行う際には、ご自身の資産や投資の目的、投資経験等を踏まえて、ご自身の許容可能なリスクの範囲内で、ご自身の責任においてご判断ください。
三井物産デジタル・アセットマネジメント
三井物産グループが提供する資産運用サービス「オルタナ(ALTERNA)」を運営中。オルタナや資産運用に関するコラムを発信しています。
ここから先は三井物産デジタル・アセットマネジメントが作成したウェブサイトです。前ページは当社が作成したものではなく、内容はウェブサイト作成者の評価・意見です。予めご了承ください。