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「手数料が複雑すぎて、分かりにくいです!」にお答えします!

※本記事は、ALTERNA(オルタナ)のお問い合わせなどに寄せられたご質問・ご意見に、ALTERNAの中の人(三井物産デジタル・アセットマネジメントの社員)が赤裸々にお答えしていくコンテンツです。

 

 

さて、今回は手数料に関するご質問です。

 

「オルタナの手数料表示を見て、いろんな種類の手数料を取られるのだなと感じました。」

 

「分配金利回りが3%なのに、販売手数料を4%も取られたら、損するのでは?」

 

今回もストレートなご意見、ありがとうございます。

 

また、わかりやすさを追求する観点で、表示に関する工夫が不足していたものと反省しています。

 

金融業界は、投資商品の組成・運用、販売、信託などの役割分担が進んでおり、金融業界に身をおく私たちでも手数料の負担方法は「直感的にイメージしにくいものが多い」と感じています。

 

金融庁の「顧客本位の業務運営に関する原則」においても、「手数料等の明確化」が重視されています。

 

今回の記事においても「単に手数料を表示する」姿勢ではなく、一歩踏み込んで「中身をしっかりご理解いただく」という姿勢でのご説明にチャレンジさせていただきますので、ぜひ、ご納得いただいた上ででお取引をご検討いただければ幸いです。

 

※なお、以下の報酬等は「税抜」で表示を行っています。

 

ご回答(要約)

  • ALTERNAで表示されている分配金利回りは、各種手数料控除”後”の値です。(ここから更に手数料が引かれることはありません)
  • 手数料には、「①一度だけ発生するもの」と「②毎年発生するもの」があり、「発行市場」と「流通市場」とで手数料の考え方が異なるため、これらの違いを知ることが重要です。
  • ALTERNAには「販売手数料」「取得報酬」などが存在しますが、発行市場であるALTERNAでは「取得する不動産の金額」と「投資持分の価格」との間にギャップがあるため、手数料を加味しても、投資家のみなさまには投資した時点から評価益が発生するように設計されています。
  • 徹底したDX推進により、分配金利回りに大きな影響を与える「運用報酬」は、ALTERNAは既に競争力のある水準となっています。

 

手数料の2分類

金融商品の手数料は、大きく分けて2つに分類されます。

 

①一度だけ発生するもの

集めた投資資金の中から「一度だけ差し引かれる性質のもの」です。

具体例として、販売手数料・取得報酬・売却報酬などがあります。

 

②毎年発生するもの

毎年の収益から差し引かれる性質のものです。

具体例として、運用報酬や信託報酬などがあります。

 

また、それぞれの手数料が「何に影響を与えるのか」を知ることも大切です。

 

詳しくは後ほどご説明しますが、①はファンド終了/売却時の「売却時の損益(精算価格)」に影響し、②は「分配金利回り」に影響します。

 

以下では、当社がいただく報酬(手数料)である

  • ①-a:販売手数料
  • ①-b:取得報酬
  • ①-c:売却報酬
  • ② :運用報酬

の4つについての考え方について、具体例も織り交ぜながら、ご説明させていただきたいと思います。

 

 

①-a 販売手数料

ALTERNAでは、ファンドの資金調達をサポートする各種業務の報酬として、販売金額の4.0%をファンドからいただいています。

 

ここで早速、

 

「待て待て。〇〇証券で、株式やREITを買っているが、4%も手数料はかからないぞ」

 

との疑問に思った方もいらっしゃるでしょう。

 

この疑問にお答えするには、まず「発行市場」と「流通市場」の違いをご説明する必要があります。

 

 

発行市場と流通市場の違い

 

発行市場はプライマリ市場とも呼ばれ、新規に発行される有価証券を購入するものです。

株式やREITのIPOやPO(公募増資)はこれに該当します。

販売(引受)手数料は、ALTERNAと同様の仕組みで発行体(ファンド)が負担しています。

 

一方、流通市場はセカンダリ市場とも呼ばれ、既に発行された有価証券を売買するものです。

この市場での取引は、取引手数料は投資家のみなさまのご負担となります。

 

よく「売買手数料 0円!」というネット系証券会社さんの広告などをご覧になることがあると思いますが、多くの場合、この流通市場の手数料のことを指しています。

 

流通市場の手数料は「商品を購入する費用とは別の手数料」ということが比較的イメージしやすいと思いますが、発行市場の手数料の考え方は、少し複雑です。

 

 

発行市場(ALTERNA)のお金の流れ

では、発行市場は、具体的にどのような流れになるのでしょうか。

 

イメージを掴んでいただくため、お金の流れを図示していきます。

※簡略化のため、借入金を想定せず、全て投資資金で賄った前提でご説明しています。

 

  • 投資家のみなさまから投資いただいた金額を100とすると、販売手数料4を差し引いた96を、ファンド側に入金します。
  • ファンド側は、その資金を使い、投資対象となる不動産を96で購入します。
  • この場合、投資した金額100が、96の価値しか持たない不動産に転換された形になります。手数料としていただいた4の分だけ、「損しているではないか」とのご指摘は、ここに該当するかと思います。
  • 一方で、この96は取得した不動産の簿価であり、不動産鑑定評価額や実際の取引価格とは乖離するケースがあります。
  • 仮に不動産鑑定評価額が101であるとすれば、不動産簿価96ならびに投資金額100を上回る価値となっています(1の評価益が生まれています)。
  • これは、不動産鑑定評価額よりも、不動産を割安で購入したということであり、資産運用会社としての機能(価格交渉力)を発揮した結果とも言えます。

 

私たちとしても、少しでも投資家のみなさまに資するべく、できる限り安く仕入れることに注力しています。

 

その成果の例として「三井物産のデジタル証券 〜日本橋・人形町〜(譲渡制限付)」においては、1口あたり100,000円の投資金額に対して、1口あたり基準価額は101,257円(※)となっており、投資初日から1,257円の評価益が発生する予定となっています。

 

これは、不動産鑑定評価額と比較して、実際に物件を安く仕入れることができた、ということになります。

 

※2023年4月1日を価格時点とする不動産鑑定評価額及び貸付予定金額等に基づき、2023年5月17日現在において算出された、信託設定日(2023年6月23日時点)における本受益権1口当たりの純資産額の試算値です。デジタル証券は上場商品ほどの流動性が確保されておらず、必ずしもこの基準価額で売買ができるわけではない点にご注意下さい。

 

 

(余談)「IPO 手数料 0円」のカラクリ

上記でご説明した「販売手数料」は、株式のIPOや公募増資では引受手数料、投資信託では購入時手数料に相当するものです。

 

これを聞くと、

 

「え? 〇〇証券のホームページには、IPOの手数料0円と書いてありますよ?」

 

とお感じになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

 

しかし、商品の目論見書をよく読んでみて下さい。大体、以下のような記載があります。

 

「引受手数料は支払われません。ただし、発行価格と引受価額との差額の総額は引受人の手数料となります。」

 

なんだかよくわからない「もにょもにょ」とした表現がありますが、要は「手数料がある」ということです。

 

この「もにょもにょ」は、例えば株式のIPOでは、8%程度を証券会社が受領する形になっています。(参考:公正取引委員会の資料

 

実は、社内でも、

 

「他社に倣って「もにょもにょ」と記載した方が見栄えがいいんじゃないか」

 

というアイディアも出ましたが、

 

「圧倒的透明性でやるべきだ!」

 

という大多数の社員の信念に封殺され、料率を明記させていただく方針となりました。

 

 

(参考)発行市場(REIT)のお金の流れ

ご参考までに、株式のIPOに近い、REITの公募増資で手数料が発生する仕組みを、以下でご説明いたします。

 

 

  • 公募増資は、価格決定日をあらかじめ設定し、その日の終値を元に購入価格を決定していくことになります。
  • 需要の状況に応じて、終値×0.9~1.0の範囲でディスカウントした価格を、「発行価格」と呼びます。ここでは、2.5%のディスカウントを設定したと仮定します。
  • ここから、証券会社の引受手数料を差し引いた「発行価額」が算出されます。引受手数料は募集金額や、REIT銘柄の個別性により差異がありますが、ここでは過去の実績などから3.5%と仮定します。
  • 投資家のみなさまから投資いただいた金額を100とすると、引受手数料3.5を差し引いた96.5が、REIT側に入金されます。
  • REITはその資金を使い、96.5分の不動産を新たに購入します。
  • 一方、不動産簿価とは別に、REITには東京証券取引所における市場価格があり、その数字はディスカウント前の102.5で取引されています。すなわち、100で購入した投資家には、2.5の評価益が生まることになります。(もちろん、金融市場の影響などによって、REITの価格はすぐに動いてしてしまう可能性はあります)

 

・・・と、ここまでご説明してきましたが、やはりなかなか難しい話になってしまいました。

 

わかりにくさの解消は課題と受け止め、今後改善を進めていきたいと考えていますが、

 

  • ALTERNAもREIT(株式)の公募増資も、販売手数料の構造は同一であること。
  • いずれのケースにおいても、販売手数料を投資家のみなさまから直接いただく形ではないこと。
  • 「取得する不動産の金額」と「投資持分の価格」にはギャップがあるため、必ずしも投資家のみなさまが「手数料の分だけ損をする構造」には「なっていない」こと。

 

について、少しでも投資家のみなさまに知っていただけるとありがたいです。

 

 

①-b 取得報酬

ALTERNAでは、投資対象となる不動産の取得時に、不動産取得価格に対して1%の取得報酬をいただいています。

 

 

この報酬は、良い投資案件を見つけるための活動(ソーシング)、案件のデューデリジェンス、ファンド組成に関わる様々な交渉・手続きなどに関する対価としていただくものです。

 

ファンドが受領した資金の中から、不動産を取得する際に必要な事務費用等と共にいただいているものであり、経理処理においては不動産の帳簿価格に算入されます。

 

先程「不動産鑑定評価額(101)に比べて、安く仕入れてきている」と説明させて頂きましたが、上の例では、実際には95で仕入れて、1が取得報酬となり、ファンドのバランスシート上(不動産の帳簿価格)は96になります。

 

従って、この取得報酬も、投資家のみなさまから、投資金額とは別にお支払いいただくものではございません。

 

 

①-c 売却報酬

 

ALTERNAでは、ファンドの運用期間が終了すると、投資対象となる不動産の売却を行います。

 

その売却時に、不動産売却価格に対して1.0%の売却報酬をいただいています。

※相応の売却益が見込める場合には、インセンティブ(成功)報酬をいただく場合もございます。

 

 

この報酬は、不動産を良い条件で売却するための様々な活動・交渉・手続きなどに関する対価としていただくものです。

 

これらの報酬も、不動産の売却を行い、ファンドの償還を行う際に、売却代金の中から売却する際に必要な事務費用等と共にいただくものです。

 

従って、この売却報酬も投資家のみなさまから直接的にいただく報酬ではありませんが、償還時にみなさまへお返しする投資元本・売却損益に影響します。

 

取得・売却報酬は、資産運用会社の代表的な手数料で、REITや不動産デジタル証券においても報酬の構造は同一です。

 

また、①-a〜①-cの報酬については、当社は「相場と同じくらい」の水準をいただいています。

 

 

②運用報酬

 

ALTERNAでは、不動産やファンドの管理・運営を行う対価として、総資産額に対して年0.2%の運用報酬をファンドからいただいています。

 

運用中のお金の流れを少し詳しくみてみましょう。

※簡略化のため、借入金を想定せず、会計監査・一般事務受託費用・リザーブなどは省略してご説明します。金額はあくまでイメージです。

 

 

  • 運用中は、不動産からの家賃収入があります。
  • ここから物件の維持に必要な費用(物件管理費、固定資産税、保険料など)を引いたものが賃貸利益(専門用語では「NOI」)となります。
  • ここから、投資家管理やブロックチェーン基盤の提供を行う対価として、業務を委託する信託銀行が信託報酬(過去実績などから、ここでは総資産額の年0.3%とします)を受領します。
  • そして、運用会社である当社は、不動産・ファンドの管理・運営を行う対価として、総資産額に対して年0.2%の運用報酬をいただきます。
  • 最後に、投資家のみなさまに分配が行われます。

 

これらの報酬は、予想分配金の算出時にファンドの経費として織り込んでいるもので、投資家のみなさまから別途いただくものではございません。

 

そして、予想配当利回りとして表示されている数字は、こうした経費を控除した「後」の数値を表示しています。

 

つまり、分配金利回り(税引前)が「年 3.0%」であれば、100投資した場合に年3の分配金(税引前)が期待できる、ということになります。

 

 

 

この運用報酬こそ「分配金利回りに大きく影響を与えるもの」となりますが、当社では徹底したDX化による運用報酬の削減に取り組んでおります。

 

以下の他社の不動産デジタル証券やREITとの比較でお分かりいただける通り、運用報酬 年0.2%は、非常に競争力のある水準であると考えております。(今後、さらに削減していく予定です)

 

 

※運用報酬は、取得価格(又はファンドの純資産総額)に対する料率です。
※ALTERNAは、三井物産のデジタル証券~日本橋・人形町~(譲渡制限付)の数値です。
※不動産デジタル証券および上場REITの運用報酬、上場REIT 投資信託の信託報酬は、投資対象が国内不動産であるものに限定し、公開数値をもとに当社が独自にまとめたものです。

 

上記を見て、

 

「年0.2%で競争力があるって? もっと安いETF(上場投資信託)もあるじゃないか」

 

と考えた方もいらっしゃるかもしれません。

 

確かにREIT指数に連動した投資信託では、信託報酬が年0.2%を切っているものも存在します。(株式指数に連動するETFでは年 0.1%を下回るものもあります)

 

しかし、投資信託はあくまで、既存商品を組み合わせた「おまかせ弁当」です。

 

つまり「おまかせ弁当」を詰め合わせるコストに加えて、その中に入っている「具材」(個別商品)のコストは別にかかっているのです。

 

詳しくは上の表にある通りですが、2段階でコストがかかっている(その分「おまかせ弁当」なので「具材」を個別に選ぶ必要がない)ということをご理解いただけますと幸いです。

 

 

 

さいごに

 

不動産の収益は、物件によって、様々です。

 

正直「利回りだけ」を追求するなら、もっと別の商品がたくさんあります。

 

しかし、高い利回りには、それ相応のリスクがあることを忘れないでください。

 

もちろん、ALTERNAで取扱う商品にも、リスクがないわけではありません。

 

しかし、立地・物件特性・過去の実績などから、できるだけ「安心して購入いただけるもの」を厳選しております。

 

「安心して購入いただけるもの」は、どうしても「利回りだけ」で見ると、見劣りしてしまいます。その上で、さらに手数料が引かれるとなると、尚更です。

 

しかし、製造・販売を一体で行う当社では、その改善に向けて積極的に取り組んで行きたいと考えており、(正直まだ道半ばの状態ですが)運用報酬の改善は、その取り組みの1つになります。

 

 

「より良いものを、できるだけお手頃な価格(手数料)で、お届けする」

 

 

ALTERNAでは、このようなコンセプトで、今後も手数料の簡素化・削減に取り組んでいきたいと思います。

 

 

まとめ

  • ALTERNAで表示されている分配金利回りは、各種手数料控除”後”の値です。(ここから更に手数料が引かれることはありません)
  • 手数料には、「①一度だけ発生するもの」と「②毎年発生するもの」があり、「発行市場」と「流通市場」とで手数料の考え方が異なるため、これらの違いを知ることが重要です。
  • ALTERNAには「販売手数料」「取得報酬」などが存在しますが、発行市場であるALTERNAでは「取得する不動産の金額」と「投資持分の価格」との間にギャップがあるため、手数料を加味しても、投資家のみなさまには投資した時点から評価益が発生するように設計されています。
  • 徹底したDX推進により、分配金利回りに大きな影響を与える「運用報酬」は、ALTERNAは既に競争力のある水準となっています。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

ご質問・ご意見がございましたら、お気軽に以下のお問い合わせフォームからご連絡ください。


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