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「金利が上がっても、不動産投資は大丈夫ですか?」にお答えします!

※本記事は、ALTERNA(オルタナ)のお問い合わせなどに寄せられたご質問・ご意見に、ALTERNAの中の人(三井物産デジタル・アセットマネジメントの社員)が赤裸々にお答えしていくコンテンツです。なお、今回の記事はやや難しい内容を含むため「投資経験者向け」の内容となっています。

 

今回のご質問は、こちら。

 

「将来的に長期金利が上がる可能性もある中で、不動産投資への影響が心配です。大丈夫ですか?」

 

 

不動産投資で気になる金利の影響。

 

最近では、日本銀行が2023年12月19日に開いた金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の維持が決定、マイナス金利政策の解除は見送り(現状維持)となりましたが、今後金利が上昇した場合にはどんな影響があるのでしょうか。

 

まずは気になるのが予想される配当への影響です。

 

金利が上がると、借入金のコスト負担があがるので・・・と単純に考えがちですが、不動産の家賃収入を合わせて見ておく必要があります。

 

そして、気になる、不動産価格への影響。一般的に、金利の上昇は不動産価格にマイナスと言われますが、その当たりの因果関係や捉え方についても解説します。

 

 

ご回答(要約)

  • 金利上昇による不動産投資への影響は、プラス面/マイナス面の両方があり、「良い(悪い)」を断言することができません。この両面を理解することで、偏ったモノの見方に流されないようにしましょう。
  • 金利上昇による「配当」への影響は、ローンの支払金利が増えるというマイナス面はありながらも、物価上昇・景気回復に伴う賃料収入の増加というプラス面も期待できます。
  • 特に、テナント入替が行われやすいレジデンスなどの不動産は賃料増額の恩恵を受けやすい傾向があります。
  • 金利上昇による「不動産価格」への影響は、鑑定評価額の指標の1つであるDCF価格の下落(割引率の上昇)によるマイナス面はありながらも、配当と同じく賃料収入の増加による不動産価格の上昇というプラス面も期待できます。
  • また、不動産取引は対象が唯一無二のものなので、欲しい人がいればその条件取引が成立するという「理屈で考える世界」とは異なる取引も存在します。

 

 

配当への影響(マイナス面)

 

当社で取り扱っているデジタル証券は、みなさまからの投資資金と、銀行からコストの低い借入金を用いて不動産投資を行い、収益性を高めています。

 

収益(3)を生み出す不動産(100)に対して

金利1%の借入(50)と出資(50)で投資している例

 

借入を行う際は、住宅ローンと同様に「固定金利」と「変動金利」を選択することができます。

 

当然不確実なものを排除したい考え方から「固定金利が良い。固定出来るなら、固定すべき。」というご意見もありますが、一般的には変動金利よりも固定金利の方が金利が高い(=金利上昇リスクを回避する保険料のようなもの)という性質があり、必ずしも固定金利が有利とは限りません。このような考えから、当社のファンドの借入は主に「変動金利」を採用しています。

 

不動産ファンドで利用される借入金は、例えば6ヶ月毎に半年分の金利を固定します。いわゆる「短期金利」と呼ばれるものですが、短期金利が上昇するともちろん配当が減る可能性があります。

 

なお金利には「長期金利」と「短期金利」があり、それぞれ異なる動き方をします。

 

以下では、

  • 短期金利:全銀協日本円TIBOR(6ヶ月)
  • 長期金利:10年国債利回り

として、それぞれを時系列で比較してみます。

※一般社団法人全銀協TIBOR運営機関の「全銀協TIBORレート履歴」・財務省「国債金利情報」の月末日の数値データをもとに三井物産デジタル・アセットマネジメントが作成

 

このように、足元で言われている金利上昇は、主に長期金利を指しており、1%を目指す動きとなっています。一方で、短期金利は横ばいで推移しており、直ちに配当に大きな影響を及ぼす状態にはなっていません

 

投資家のみなさまには、月次で運用状況をタイムリーにお知らせしていますが、更改された金利条件についても、今後、配信の対象に加えることを検討していきます。

 

 

配当への影響(プラス面)

 

ところで、金利が上昇していくということは、一般的には「お金を借りるニーズが強くなっている」=「景気としては良い方向」と言われています。

 

物価や賃金が上がる時代ということですから、当然に不動産投資で大事になる家賃収入も上昇傾向となります。

 

家賃には契約期間があり、一般的にはテナントの入れ替えの比較的多いレジデンス案件や、変動賃料を組み入れたホテル・商業施設は、最も物価上昇の影響を受けやすく、逆に契約期間が長いオフィスや物流施設は物価上昇の反映が遅れるという特性があります。

 

金利上昇で借入コストが上がっても、家賃を上げることが出来れば、配当への影響を減らす、あるいは配当を逆に増やすことも可能になります。

 

従い、金利上昇の影響にはマイナスだけでなく、潜在的なプラス要素もありますので、両面を合わせて検討する必要があります。

 

 

不動産の価格はどうなる?

 

金利上昇と不動産価格に何の関係が?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

 

大前提としては、対象が唯一無二のモノなので「売主が売りたいと思う値段と、買主が欲しいと思う値段がマッチすれば、いくらでもOK」という世界ではあります。

 

売りたい人は、自分が持っている案件を、最も気に入ってくれる人を探し、最も良いと思う条件で折り合えば、売買が成立します。

 

そうはいっても、何かしら価格の基準がないと・・・ということで、以下のようなアイテムが引き合いに出されますが、実際の取引においては、「周辺取引事例」と「DCF価格(後に詳述)」を参考にすることが多いです。

 

不動産取引の際に参照される価格例

    • 固定資産税評価額:税金算出の際に利用、取引価格とは乖離
    • 路線価
    • 公示地価
    • 鑑定評価額
    • 周辺取引価格

周辺取引価格は、もっともイメージしやすいと思いますが、対象となる不動産に近い取引例を探して、価格を推定する方法です。

 

90年代のバブル崩壊まで、「不動産は上がる!」と信じられていたため、欲しいと思う値段で取引されたことが、異常な高騰につながりました。

 

これを受けて、金融商品と同様の考え方にもとづき、不動産から生まれる収益から不動産価格を算出しようというのがDCF価格です。

 

DCF価格は、不動産鑑定評価額の算定に当たって「1つの参考指標」とされており、金利との関係が強く、これを理解することで不動産価格に与える影響を掴むことが出来ます。

 

 

DCF価格とは?

 

不動産を、将来に貰えることが期待出来る家賃に基づいて考えよう、というのがDCF価格です。

※ここで「DCF法、知ってるよ」という方は以下の〜〜は読み飛ばしていただいて構いません。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

(参考)お金の時間価値

 

本題に入る前に、「お金の時間価値」について解説します。

 

100円に金利が5%つくと、1年後には105円が貰えます。逆に言えば、1年後の105円は、今の価値に直すと100円にしかならない、これが「お金の時間価値」です。

 

逆に言うと、今持っている100円は、将来105円になっていないと価値が減る(運用しないと資産が目減りする)とも言え、金利上昇というのは、長く忘れていたインフレの恐ろしさ=何もしないと資産価値が減るということを、実感する時代でもあります。

 

さて、本題に。

 

毎年100万円の家賃が貰える不動産(土地)があるとすると、この土地のお値段は、貰える家賃をもとに以下のように計算するのが、DCF=割引キャッシュフロー法と呼ばれる方法です。

  • 1年後の家賃・・・95万円=100万円÷(1 + 5%)
  • 2年後の家賃・・・90万円=100万円÷(1 + 5%)÷(1 + 5%)
  • 3年後の家賃・・・86万円=100万円÷(1 + 5%)÷(1 + 5%)÷(1 + 5%)

という形で、高校数学で学ぶ「無限等比級数の和」公式を使って、この不動産がずーっと未来(無限年後)まで生み出す家賃を合計すると、100万円÷5%=2,000万円と計算出来ます。

 

上記の通り、100万円を貰い続けられる不動産は、100万円 ✕ 無限年ではなく、お金の時間価値を考慮して、金利が5%ならば2,000万円が目安(=これがDCF価格)ということになります(あくまで目安ですが)。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

では、DCF価格を算出する際に、金利に相当する数字(上記の5%に相当するもの。割引率といいます。)はどのように決まっているのでしょうか。一般的には、以下のような公式に基づき、計算されています。

 

  • 割引率 = 基準金利 + リスクプレミアム

 

当社で取扱いを行っているデジタル証券では、不動産鑑定評価に用いる割引率を開示しています。(各商品の目論見書をご覧ください)

 

基準金利とリスクプレミアムの内訳は、不動産鑑定会社が決定していますが、通常は長期金利の指標として10年国債利回りが用いられますので、長期金利が上昇した場合には、割引率もあがります。

この場合、将来の家賃を現在価値に換算する際の割引効果が大きくなるため、不動産価格の目安となる数字が下がることになります。

 

ここで「金利上昇=価格下落」という構図をシンプルに考えがちであるのですが、他にも考慮すべきポイントが2つあります。

 

ひとつは先程ご説明したポイントと同じですが、金利上昇→物価上昇で家賃増加が期待できます。受け取れる家賃が増えることは、不動産価格の目安が上がることになりますので、価格上昇・下落双方に影響が出てきます。

 

また、リスクプレミアムは、投資対象のリスクに応じて期待する超過収益(上乗せ収益)のことを指しますが、経済がグローバル化する中では、海外市場の影響を受けてこの数字が変化することがあります。

 

日本のリスクプレミアムは、諸外国に比べてまだ高い水準にあるとされており、他国に比べて有利な投資と判断する投資家が、リスクプレミアムを小さく見積もって投資を行う=より高い金額を付けて売買する投資行動は、現実に存在します。

 

したがって、売買価格についても、金利上昇はネガティブな要素のみでなく、プラスに働く点があるところにも注意が必要です。

 

 

まとめ(再掲)

  • 金利上昇による不動産投資への影響は、プラス面/マイナス面の両方があり、「良い(悪い)」を断言することができません。この両面を理解することで、偏ったモノの見方に流されないようにしましょう。
  • 金利上昇による「配当」への影響は、ローンの支払金利が増えるというマイナス面はありながらも、物価上昇・景気回復に伴う賃料収入の増加というプラス面も期待できます。
  • 特に、テナント入替が行われやすいレジデンスなどの不動産は賃料増額の恩恵を受けやすい傾向があります。
  • 金利上昇による「不動産価格」への影響は、鑑定評価額の指標の1つであるDCF価格の下落(割引率の上昇)によるマイナス面はありながらも、配当と同じく賃料収入の増加による不動産価格の上昇というプラス面も期待できます。
  • また、不動産取引は対象が唯一無二のものなので、欲しい人がいればその条件取引が成立するという「理屈で考える世界」とは異なる取引も存在します。

 

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 

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